「下克上寸前」まで上り詰めた、阪神・和田監督に潜むチカラ:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/3 ページ)
阪神タイガースが日本一の座を逃した。就任3年目の和田監督は口数が少ないので、メディアで取り上げられる機会は少ない。どんな人物なの? と思っている人が多いかもしれないが、虎の指揮官は類まれな“図太い神経”の持ち主なのだ。
和田監督の“免疫力”
ところが、この力強い逆襲宣言に周囲は失笑――。味方であるはずの複数の球団関係者からも「普通の神経の持ち主ならば優勝を逃した時点で『進退伺い』ぐらい出すもんや」といった声が噴出した。ほとんどの人が“絵に描いた餅”に終わると思い込んでいたのである。
しかしこういった逆風を跳ね返し、下馬評を完全に覆してCSで巨人に見事なリベンジを果たしてしまったのだから、あざ笑っていた人たちは黙って和田監督にただただ平伏し直すしかないだろう。先のOBはこう言った。
「私だってCSが終わった後、和田には直接会って『四の五の言ってすまんかったな。オマエは本当にたいしたもんや』と謝った。アイツは現役時代から30年間も“タテジマ一筋”。そんな人間は今のチームには誰もいない。他の誰よりもタイガースを知り尽くしているのだから我々OBはもちろん、フロントを含めて周りももっとアイツをサポートしてやらなければいけないということを再認識させられた。
そうそう……。ちなみに和田は『私には長い間タイガースで培った“免疫力”がありますから少々のことではヘコたれませんよ。周りからの批判も黙って受け入れて自分の糧に変えることができますからね。どうということはありません』とも言っていたな。その言葉を聞いて、今年のタイガースがリーグ優勝を奪われた巨人にCSで雪辱し、日本シリーズへ進出できた理由がよく分かったような気がしたよ」
確かにそうだ。かつて和田監督は2001年の選手兼任コーチ時代を含め現場首脳陣として野村克也氏、星野仙一氏、岡田彰布氏、真弓明信氏と4人の指揮官のもとで師事し「虎の帝王学」を伝授されている。タイガースが現在のようにAクラス入りが当たり前のようになった時代だけでなく、最下位街道を突っ走っていた「暗黒時代」のことも当然知っている。酸いも甘いも知り尽くしているからこそ、信じられないような“図太い神経”を和田監督は身につけているのだろう。
虎の指揮官は、それを前出のように自ら「免疫力」と呼ぶ。批判を糧に変えて倍返しする術――。社会の荒波にもまれながら仕事をしなければいけない私たちにも参考になりそうだ。
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