カルビーのJagabeeが、いまシンガポールで売れている:日本発のヒット商品(2/2 ページ)
カルビーが海外展開にチカラを入れている。北米や中国などで売り上げが伸びているが、ここ数年シンガポールの人たちの間でJagabeeがウケているという。その理由は……。
シンガポールでJagabeeが好調
海外事業の中でも急速に成長しているのがシンガポール市場だ。商品群の中でも、特に「Jagabee(じゃがビー)」の売り上げが好調だという。Jagabeeといえば、じゃがいもの味がしっかりしていて、サクサクした食感が特徴のポテトスナック。国内で2006年に発売されたJagabeeは、なぜシンガポールの人たちにウケているのだろうか。
海外第一事業部の森川桜課長に聞いたところ「日本で発売した翌年に、大々的にサンプリングを行った。シンガポールの人口は約540万人だが、2日間で1万5000袋ほど配ったこともある」とのこと。大規模な広告を打つのではなく、まずは食べてもらう。そして「おいしい」と感じてもらう戦略に打って出た。また、販促活動もちょっとユニークな試みを行っている。「冷蔵庫などに貼るマグネットを配った。その表面に『Jagabeeを配達します。電話番号012345……』などと明記して、商品を知ってもらう。そして、家に居ながら気軽に注文できるようにした」(森川課長)。大々的なサンプリング+販促活動によって、売り上げが大きく伸びたという。
現地で売られている商品のパッケージを見ると、「えっ、これって日本で売っているモノではないの?」と勘違いする人も多いのでは。それほど、“日本”が前面に出ているのだ。「現地の人たちは『日本のモノ』を好む傾向がある。日本発の商品だと分かるように、パッケージにはあえて日本語を使うことにした」(森川課長)という。
ここ数年、シンガポールでのJagabeeの売り上げは二桁成長を続けているが、課題もある。それは、売れ過ぎたことによって、競合他社が類似品を出してきたこと。また、人口規模などを考えれば、これまでのような伸びは期待できないこと。「シンガポールのスナック菓子市場は成熟しつつある。日本と同じような歴史を歩んでいるので、近い将来必ず“天井”が見えてくる。そのとき、どうやって売り上げを伸ばしていくかが、今後の課題だ」(森川課長)
日本で天井が見えてきたとき、菓子メーカーはどのような手を打ってきたのか。定番商品としての枠を勝ち取るために、味のバリエーションを増やしたり、季節限定の商品を発売したり、土産物用の商品を発売したりしてきた。カルビーはその日を迎える前に、どのような矢を放って、現地の人の胃袋を満たそうとするのか。第二、第三の矢に注目したい。
編集部よりお知らせ:
「made in Japan」――。かつては“格下”の響きがあったが、今は違う。日本発のヒット商品が次々に生まれ、世界の仲間入りを果たした。国境を越えた商品は、どのように誕生し、なぜ浸透したのか。Business Media 誠ではその謎に迫っていくために特集「世界で売れてる、日本発のヒット商品」をスタートする。
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