成田空港はなぜ新ターミナルを作るのか?:2015年4月8日にオープン(2/2 ページ)
2015年4月に、新たにLCC専用の第3ターミナルをオープンすると発表した成田空港。このタイミングで新設する理由、海外のLCC用空港と比べた利便性などについて、専門家に聞いた。
LCC専用空港ターミナルとしては、成田は比較的便利
LCCが増えるにつれ、LCC専用の空港ターミナルも増えているが、「成田第3ターミナルはLCC用空港としてはかなり便利なほう」と秋本さんは話す。例えば、ヨーロッパ中の大都市に就航しているLCC、ライアンエアーは本拠地をフランクフルトに置いているが、ライアンエアーが利用するフランクフルト・ハーン空港は、フランクフルト空港から約120キロメートルも離れており、移動に2時間近くかかる。
また、LCC専用ターミナルの先駆けともいえるのが、マレーシア・クアラルンプールのLCC用ターミナル。ここもクアラルンプール空港の本館ターミナルからバスで10分くらいと離れたところにある。これらと比較すれば、成田第3ターミナルはLCC専用空港としてはかなり便利な空港といえそうだ。
LCCは早朝や深夜の発着が多いため、第3ターミナル新設に合わせて、成田空港へのアクセスも利便性が向上する見込みだ。京成電鉄は早朝・深夜に成田空港に到着する列車を運行する予定のほか、JRも23時空港発の列車を増やすという。とはいえ、早朝や深夜に空港を利用したい人の主力はバス。東京駅から成田空港まで1000円前後で乗れる格安バスの便数が増え、早朝・深夜に空港を発着する便も増える予定だ。
成田空港にLCC専用ターミナルができれば、日本でもLCC利用が活発化するのではないだろうか。「羽田空港に国際便が乗り入れるようになって以来、これまでは単に羽田と成田が競争していたが、今後は両者は違う性格の空港になっていくのではないか。羽田空港は、(大手航空会社が中心になって)ビジネス利用向け、成田空港はLCCなどさまざまな航空会社の飛行機が発着する、レジャー向けの楽しい空港というように棲み分けていくようになるだろう」(秋本さん)
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