「分かる」は意外と分かりにくい:なぜ、あなたの言葉は伝わらないのか?(3/4 ページ)
「分かりました」ととりあえず答えた部下が、実は分かっていないということはよくあります。なぜなら「分かる」という言葉自体が、つかみどころのない“ふわふわ”としたものだからです。
何をもって「分かった」と判断するのか
では、具体例を使って考えてみましょう。まずは「分かる」からです。
この言葉は、誰が聞いても理解できる言葉でしょうか? 確かに、漠然とイメージは浮かびます。皆目見当がつかないということはありません。しかし、「何をもって分かったと判断するのか」がはっきりしなければ、分かったかどうかは本当のところ確認できません。
この意味で、「分かる」という言葉は、このままでは誰にでもきちんと分かるものにはなりえないのです。次に、これを命令文にしてみましょう。
「分かれ!」
これが無意味な命令文であることは、はっきりしています。「分かれ!」と言われても、言われたほうは対応しようがありません。「分かってくれよ……」と泣きつかれると困るのも、これが原因です。つまり、「分かる」は体で実行できない言葉なのです。
こうしてあらためて振り返ると、「分かる」という、私たちが当たり前のように使っている言葉が、実は頭で分かることも体で実行することもできない、先ほどの図のエリア3に位置する言葉であることがはっきりします。
だから、「分かりました」ととりあえず答えた部下が実は分かっていない、ということが四六時中起き、それによって上司も部下もお互いがストレスを感じ、ひどい場合には関係までも悪化したりするのです。
繰り返しますが、これは、部下がグータラで不真面目だから起こるとは限りません。彼(彼女)なりに上司の指示や要求に一生懸命に応えようとしてなお、いくらでも起きうるのです。なぜなら、「分かる」という言葉自体がこれほどまでにつかみどころのないものだからです。
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