魅力いっぱい、だけど認知度低すぎ? 「伊予灘ものがたり」に乗って分かったこと:杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)
年初に「2014年の鉄道旅は四国だ」と書いたけど、いまひとつ盛り上がりに欠けた。そこでJR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」に乗ってみた。予測した通り満足度の高い旅だった。ただし、回遊性と発信力についてはさらなる努力が必要と感じた。
「伊予灘ものがたり 大洲編」に乗ってみた
「伊予灘ものがたり」は、愛媛県の松山駅と、伊予大洲駅・八幡浜駅を結ぶ観光列車だ。運行開始は2014年7月26日。主に週末の運行で、松山駅〜伊予大洲駅間、松山〜八幡浜間ともに1日1往復。合計4本が設定されて、それぞれ「大洲編」「双海編」「八幡浜編」「道後編」と呼ぶ。そう書いただけでは、地元以外の人たちにはイメージしにくいと思うので、伊予灘ものがたりの公式サイトの地図を参照していただきたい。
伊予灘ものがたりは、瀬戸内海沿いに松山と西の町を結ぶルートである。地図では2つに分かれたルートの海側を走るように示されている。この海沿いは最初に開通したルート。山側は新線で、トンネルの多い短絡ルートだ。山側は宇和島と松山を結ぶ特急列車が走る。つまり現在は山側が幹線、海側はローカル線となる。伊予灘ものがたりのルート上に下灘駅があって、ここは鉄道ファンには有名な駅。海に近く風景が良い。青春18きっぷの販促ポスターになったし、ドラマや映画でもロケ地に選ばれている。
私が乗った列車は松山駅9時10分発伊予大洲行の大洲編だ。2両編成で全車グリーン車扱いの指定席。予約と同時に食事券も予約する。グリーン車指定席料金は980円。食事券は2500円。合計3480円で、このほかに乗車券が必要だ。松山〜伊予大洲間は1930円。合計5410円で1時間23分の旅を楽しめる。
私が大洲編を選んだ理由は3つ。1つ目は食事の内容だ。私の苦手な生鮮魚介類が入っていない。2つ目は食事の価格。大洲編は2500円だけど、双海編や八幡浜編は4500円とやや高い。リッチな理由は伊予灘の海の幸が盛りだくさんだから。海鮮がお好きな人にはお勧めするけれど、私には食べられない。なお、道後編は食事サービスがないが、スイーツなどのカフェメニューを提供する。
理由の3つ目は運行時間帯。大洲編から特急列車に乗り継いで宇和島へ進むと予土線に接続できる。先に挙げた鉄道ホビートレインはここで走っている。
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