海外に広がる小林製薬の「熱さまシート」――成功の裏に何が起きていた?:仕事をしたら“1億8000万枚”売れた(6/6 ページ)
熱が出たら「水でしぼったタオル」ではなく、各社から販売されている「冷却シート」を利用する人も多いのでは。冷却シート市場トップを走る小林製薬の「熱さまシート」は日本だけでなく、海外でも広がりつつあるのだ。
今後の展開
土肥: 今後の展開について教えていただけますか?
秋田: 日本では、さまざまなタイプの「熱さまシート」を販売しています。マレーシアでも昨年から今年にかけて、さまざまなタイプのモノを出しました。暑いときにより冷やす効果があるモノ、体に貼るモノなどを販売したところ、また問題が出てきました。日本と違って、なかなか店で採用されない。ドラッグストアで採用されても店によって商品が並んでいたり、並んでいなかったり。
土肥: マレーシアに進出したときと同じようなことが起きているわけですね。
秋田: はい。先ほども申し上げましたが、マレーシアの人はなかなか新商品を手にとらない傾向があるので、新しいタイプについてもドラッグストアや個人薬局などを地道に回っていかなければいけません。
ただ、マレーシアに進出した1990年代後半のころと比べると、状況はかなり違っています。極端な言い方になりますが、当時は、日本から輸出して売り上げが伸びたらそれでよし、といった感じでした。ところが、いまはどういった市場なのか、どういった店が多いのか、どういったお客さんが多いのかが分かってきました。また、大規模なドラッグストアが増えてきているので、効率よく商談ができるようになってきました。なので、進出した当時と比べて、店頭に商品が並ぶスピードは格段に上がっています。
土肥: まだまだ冷却シートの存在すら知らない人が、海外にはたくさんいますよね。
秋田: 熱が出たら体を温めなければいけない……と持っている人たちもいるんですよ。そうした人たちに、新しい「熱の下げ方」を提案できればいいですね。
(終わり)
編集部よりお知らせ:
「made in Japan」――。かつては“格下”の響きがあったが、今は違う。日本発のヒット商品が次々に生まれ、世界の仲間入りを果たした。国境を越えた商品は、どのように誕生し、なぜ浸透したのか。Business Media 誠ではその謎に迫っていくために特集「世界で売れてる、日本発のヒット商品」をスタートする。
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