2015年の鉄道業界はどうなる? 楽しい一年になりそうだ(後編):杉山淳一の時事日想(特別編)(2/4 ページ)
2015年の鉄道業界も話題が盛りだくさん。後編は大井川鐵道のきかんしゃトーマスや新たに登場する観光列車や新型車両、地方鉄道の動きを紹介しよう。
JR東日本とJR九州で新たな観光列車デビュー
JR九州が各地で観光列車を走らせ、その真打ちとも言える「ななつ星 in 九州」をデビューさせてから、各地で観光列車の取り組みが続いている。北陸新幹線開業関連のJR西日本やのと鉄道については前述の通り(関連記事)。ほかにも新しい観光列車が誕生する。
まずJR東日本から、2015年4月下旬以降に磐越西線で「フルーティア」を運行開始する。福島県への観光支援が目的。719系一般型電車を改造し、カフェカウンター車両と座席車による2両編成。福島県産のフルーツなどを使用したオリジナルスイーツを提供するという。運行区間は郡山駅―会津若松駅間で、主に土・日・祝日に運行するとのこと。会津若松駅―新潟駅間には「SLばんえつ物語」が走っている。
運行時刻は未発表ながら、ルートとしては、東北新幹線―フルーティア―SLばんえつものがたり―上越新幹線という回遊が可能。うまく接続すれば日帰りできそうだけど、わざと会津若松で接続せず、宿泊を促すという施策もありそうだ。2015年4月から6月までは、JRグルーブと地域の観光業種による観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」が予定されている。ほかにもイベント列車が登場しそうだ。
JR九州もスイーツ列車を準備中だ。2015年夏から土・日・祝日を中心に久大本線と大村線で計画している。地元の食材を使用したスイーツを楽しめるという。名称は未定。ただしコンセプトは「或る列車」だ。「或る列車」とは、国鉄に転換される前の九州鉄道が米国に発注した豪華客車で、活躍の機会が少なく「幻の客車」でもあった。
「或る列車」の図面など資料は少ない。ただし、鉄道模型愛好家で2014年7月に逝去された原信太郎氏が模型で再現している。その模型をモチーフとして、ディーゼルカー2両を改造するとのこと。「ななつ星 in 九州」と同じもてなしを短時間で楽しむという意気込みがあるようで、こちらも楽しみだ。
関連記事
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - なぜ駅にホームドアの設置が進まないのか
駅ホームからの転落事故が後を絶たない。自殺や携帯端末の注視など理由は多岐にわたり、対策はホームドアや点字ブロックの改良が主だという。しかし、私たちは最も効果的な解決策を持っている。心だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.