年俸21億円を捨てた黒田博樹とは、どんな人物なのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
ニューヨーク・ヤンキースからFAとなっていた黒田博樹投手が今シーズン、古巣の広島カープへ復帰することになった。メジャーリーグからの巨額オファーを蹴った「クロダ」という男は、海の向こうで一体どんな人物として周囲の目に映っていたのか。
彼の生き様から多くのことを学んだ
「この世界に入ってきたプレーヤーの中には地位や名声を得てスーパースターになったことで高慢になってしまう者も誰とは言わないが、残念ながら大勢いる。もしかしたらヒロと出会わなければ、オレもその1人にカウントされたままだったのかもしれない。英語で“Pride goes before destruction(ごう慢は破滅に先立つ)”ということわざがあるが、そういう要素がヒロにはまったくないよね。自分も彼とチームメートになって“元の自分に戻らなきゃいけない”と教えられたよ。ヒロは、そうだな……。まるで教会の牧師のような人物だと思うね」
ヤンキースの編成トップを務めるブライアン・キャッシュマンGMも「ビジネスライクなプレーヤーが多い中で彼はリアル・マン(正真正銘の男)であり、そしてサムライだった」と評し、次のように続けた。
「こちらが複数年契約を提示してもヒロは『1年1年で勝負したいから、甘えたくない』と断り、あえて単年契約を希望し続けた。より有利な条件で契約したいはずの代理人も、きっと彼の頑固な性格には困り果てていただろうな(笑)。私が知る限り、ヒロのようなスタンスを持つプレーヤーはいないよ。GMの私も彼の生き様から、多くのことを学んだと思っている」
「学んだ」と言えば、ドジャースのクレイトン・カーショウもそうだ。26歳の若さで通算3度もサイ・ヤング賞に輝き、昨オフにはMLB史上最高となる総額2億1500万ドル(約254億3400万円)の7年契約を結んだスーパー左腕が2008年から2011年までチームメートだった黒田に心酔していたのは有名な話。キャッチボールの相手を務めるケースが多かった黒田にピッチングやトレーニングに関することからプロのプレーヤーとしての心構えに至るまで、ありとあらゆる手ほどきを受けた。
「ボクがヒロに『多くのことを教えてくれ』と頼んだんだ。2008年のボクのルーキーイヤーは、ヒロも日本から初めてメジャーに来た1年目。でも彼は日本で特別な経験を積んでいたからね。“センセイ”がいなかったら、今のボクはない。ヒロと出会えたのは、本当に幸運だった。今、彼とはチームメートでなくなってしまったけれど今でも心がつながっていると思っている。ボクにとっては生涯忘れることはない最高のヒーローなんだよ」
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