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横綱・白鵬は本当にヒールなのか “第二の朝青龍”にしてはいけない赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)

横綱・白鵬の発言が世間をにぎわせている。初場所の優勝後に審判部を批判したことで、各メディアは猛バッシングを開始。審判批判を口にしたのは大きな問題だが、横綱は叩かれ過ぎではないだろうか。

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第二の朝青龍”にしてはいけない

 ここまで白鵬には暴行事件や麻薬問題、八百長問題などで激震に揺れ動いてきた“相撲氷河期”の時代にも孤軍奮闘し、自分が横綱という頂点の座を守り抜いてきたという自負がある。そういう幾多の困難を乗り越えてきたからこそ相撲界も今後生き残りをかけていく意味では時代の流れにちなんだアップデートが必要なわけで、それを踏まえた上で白鵬は一夜明け会見の場において一念発起で初場所13日目・稀勢の里戦を引き合いに出しながら「審判改革」をテーマに問題提起したのである。

 ちなみに白鵬は「自分は日本人の精神も誰よりも深く持っているつもり。大相撲も日本にも尊敬の念を持って、同時に強い愛情も常に抱いている」が口ぐせ。だから必要以上に周囲から「モンゴル人」として見られることに嫌悪感を抱いており、ファンが強い者に対する判官びいきによって自分の対戦相手に過剰なまでの声援が向けられることにも長年に渡って戸惑いや葛藤を覚えてきた。それが前出の「肌の色は関係ない」の発言につながっているのである。そういえば、白鵬が2年ほど前、こんなことをつぶやいたことがあった。

 「どういう立ち居振る舞いをすれば自分は日本人力士、日本人横綱として見てもらえるようになるのでしょうか。これがもしかして私にとって永遠のテーマになってしまうのかと思うと、やはりさびしいですよね」

 思えば、あの当時の発言は紛れもない本音だったのだろう。大好きな相撲で、そして大好きな日本で認めてもらうためにはとにかく勝ち続け、横綱として精進していくしかない。まだまだ封建的な相撲界でややアンタッチャブルな形で扱われがちな「国籍」という壁をぶち壊す意味でも、自分が発言権を得るために歴史に名を残すような大横綱になるしかない――。どうやら前出の白鵬発言は、本人がそう決意した末の流れから来るものでもあったようだ。

 この白鵬騒動に関して我々はもう一度冷静になってみる必要性がある。偉大な記録を残した大横綱を“第二の朝青龍”にしてしまっては絶対にいけない。

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