中古レコードの「バイヤー」って何をしているの? 買い付け・値付けの奥深さ:仕事をしたら“レコード”が売れた(6/7 ページ)
中古レコードを扱う「HMV record shop 渋谷」が、2014年にオープンした。レコードを店頭に並べるために、バイヤーたちは買い付けに回ったというが、どういった苦労があったのか。店の責任者で、バイヤーとしても活躍する小松正人さんに聞いた。
できるだけ安く買い付けて、できるだけ高く売る
小松: それだけではありません。業者さんによって考え方がまちまちなんですよ。全体的に高い価格を付けているところがあるのですが、こちらは大量に購入しようとしているので値引きの交渉をします。しかし、なかなか値引いてくれず、交渉が決裂することも。そうなると、半日かけてレコードを選んだのに、その時間が無駄になるんですよね。
土肥: オープン前はとにかく数が必要になりますよね。店頭に十分な数のレコードが並んでいなければ、見た目が寂しくなります。そういう意味では焦りもあったのではないでしょうか。
小松: ありましたね。ただ、なんでもいいから数を集めればいいわけではありません。いいモノをたくさん集めなければいけません。
土肥: ふむふむ。
小松: 中古ビジネスの基本は、できるだけ安く買い付けて、できるだけ高く売る。買い付けるときに「この価格で売れるぞ」と思っていても、残念ながらなかなか売れないときがあります。そうしたモノについては、どんどん値下げをしなければいけません。高く売れたモノの利益を使いながら、不良在庫を圧縮していく。それを同時にやらなければいけない、という難しさがありますね。
ただ、不良在庫として扱っていたモノが、いきなり価格が上がることもあるんですよ。
土肥: どういうことでしょうか?
小松: 何かのきっかけで、ある歌手の人気が上昇することがありますよね。そうしたときには、中古レコードも売れて、価格が上昇するんですよ。
土肥: これまで買い付け話を中心にうかがってきましたが、値付けも難しいですね。例えば、NHKの『紅白歌合戦』に出場すると、「新品のCDが売れている!」といったニュースを目にすることがあるのですが、そうしたときには中古市場でも価格が上昇しているわけですね。
小松: 人気が再ブレイクしたときには価格に影響することがありますので、一度値付けをしたらおしまいというわけではないんですよ。売れなければ値下げをしますし、売れそうだと思えば値上げをする。その判断は難しいですね。
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