松井氏、ヤンキースのフロント入り――なぜ契約期間は「1年」だったのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
ヤンキースがチームOBの松井秀喜氏のGM特別アドバイザー就任を発表した。松井氏の主な仕事はマイナーチームを巡回し、選手らの打撃相談に乗ることだが、なぜ契約期間は「1年」だったのか。その裏にはさまざまな思惑が……。
球団側の姿勢
ヤンキースは2014年10月にキャッシュマンGMと3年間の再契約を結んだばかり。同GMには昨季限りでの退団のウワサもあったが、1998年の就任からここまでの17年間でポストシーズン進出14回(うちワールドシリーズ制覇は4回)の功績を残す敏腕GMの後任はなかなか簡単に見つからなかったようだ。だがキャッシュマンGMの続投は決まったとはいえ、2年連続でポストシーズン進出を逃すなど低迷中だけに再建を促すためにもフロントの現体制へ何らかのカンフル剤を投入する必要があった。それが今回断行されたオールドスクールの人事である。地元ニューヨークメディアの間で松井氏の登用がヤンキースの共同オーナーの1人であるハル・スタインブレナー氏の肝いりと見られているのも、まさにその流れだ。
もちろん松井氏が、いきなり「ネクタイ組」と同じようなレベルのフロント業務をこなせることはできまい。それでも有望選手のチェックなどチームの編成面においてGMや幹部クラスの面々に対し、現場を体感した元大物メジャーリーガーならではの有益なアドバイスを送ることは十分に可能だろう。「アドバイザー」という肩書きが与えられたのも当然そのためと見ていい。
ヤンキースと松井氏の契約期間は1年。しかしヤンキースは余程のことがない限り、再契約のオファーを松井氏にかけるはずだ。キャッシュマンGMが松井氏について「彼がコーチになるにはまだいくつかのステップを踏む必要があると思う。5年間ぐらいは今年のような役割を果たすのがいい」と語っていることからも、球団側の姿勢がはっきりと汲み取れる。
15年以上に渡ってニューヨークでヤンキース番記者を務めている某メディアのビートライターは、次のように打ち明けた。
「ヤンキースはGMの言うように5年前後、マツイに球団の一員としてフロントと現場の両面を勉強させ、英才教育を施す方針を固めている。ヤンキースがマツイに求めるゴールはヤンキースの現場指導者だ。将来的に本気でマツイをメジャーのコーチにさせたいと明確なシナリオを描いているのだ。そのためのプロセスとして彼にはGM特別アドバイザーの肩書きが用意されたわけで、ここでは通訳の必要ないレベルまで語学力を引き上げることも含め多くのスキルアップを目指すことになる」
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