バーモントカレーが、中国で売れている秘密:新連載・水曜インタビュー劇場(4/6 ページ)
ハウス食品の看板商品「バーモントカレー」が、中国で売れている。中国では白いご飯の上にカレーをかけて食べる習慣がなかったのに、どのようにして普及させたのだろうか。同社・国際事業部の担当者に話を聞いたところ……。
カレールーの味はアレンジ
渡辺: 試食活動にチカラを入れています。日本でカレーの試食コーナーを設けても、いまさら感がありますよね。ほとんどの人が一度はカレーを食べたことがあるので。ただ、中国ではまだまだ普及していませんので、カレーのできあがりイメージをもっていただかなければいけません。写真だけではなく、人間の五感で感じとってもらうことが大切なんです。
どんな材料を使って、どんなふうに料理をしていけばいいのか。そして、できあがったカレーを召し上がっていただく。店内で試食コーナーを設けていると、カレーの香りが広がるので、たくさんのお客さまが集まってくれます。「なに、なに?」といった感じで。なので、ルーを発売するにあたって、試食活動はものすごく重要なんです。
土肥: なるほど。
渡辺: また日系メーカーの工場で、社員食堂のメニューとして提案させていただいています。工場の多くは都市部から少し離れたところに建っているので、近くにレストランがありません。なので、カレーをご案内すると喜ばれます。「中国で日本式カレーが食べられるなんて」といった感じで。中には日本人の工場長が喜ばれて、「週に1回は“カレーの日”にしよう」といったケースもありました。工場のスタッフは9割以上が中国人なので、こうした活動も現地の人に影響力があるんです。
土肥: ルーの味は、日本のモノと同じなのでしょうか?
渡辺: いえ、違います。日本のバーモントカレーは褐色ですが、中国では黄色。レストランでは基本的に同じ味だったのですが、ルーの発売前にいろいろ議論しました。「日本のモノをそのままにしたほうがいいのではないか」「いやいや、現地の人たちに親しまれるようにアレンジしたほうがいいのではないか」と。
なぜ黄色にしたかというと、カレーパウダーで接している人が多いので、「カレー=黄色」という認識が強いんですよね。なので、親近感をもっていただくために、ルーは黄色にしました。
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