「クルマ+人力」は効率的なのか? ローソン+佐川急便の物流システム:半径500メートルの商売(3/5 ページ)
コンビニ大手のローソンが、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスと合弁会社を設立し、宅配事業に乗り出す。ローソンの店舗でサービスを展開し、半径500メートルの消費者を囲い込む。
加盟店のメリット
――サービスを導入することで、コンビニの加盟店にはどのような影響があるのでしょうか?
玉塚: 店頭に荷物を受け取りに来られるので、お客さまの来店動機が増えるだろう。現在アマゾンと提携しているが、商品を取りに来られるのは夜の時間帯が多い。荷物を受け取りに来られたお客さまの約5〜6割は、何かを購入されるので、売り上げアップにつながるはずだ。
また店舗のスペースを使って配達していくので、加盟店は手数料収入を増やすことができる。
さらに「マチの暮らしサポート」では、配達時などに“御用聞き”を行う。例えば、お客さまから「水は重たいので、持ってきてよ」という注文があれば、店舗のモノを配達する。その分も売り上げになる。
――コンビニの役割は今後、どうなっていくのでしょうか?
玉塚: 流通・小売の世界で、現在成長しているのはコンビニとeコマースだけ。日本全体が高齢化・核家族化していく中で、商品を自宅まで届けるニーズはものすごくある。意欲のあるコンビニオーナーはすでに配達サービスをやっている。自分たちでクルマを購入して、いろいろなモノを配達している。御用聞きもしている。
ただ、店舗から自宅まで配達するにあたって、採算性がポイントになる。例えば、いくらがんばっても1日5件の注文だと、配送する人件費などを考えれば採算が合わない。社会貢献という意味でシニアの方々に商品を届けることは素晴らしいことだが、きちんとしたビジネスとして成立したプラットフォームをつくっていかなければいけない。
――即日配送はできるのでしょうか?
玉塚: 配送するスピードはポイントではないと思っている。買い物に困っている人に、重たいモノを運べない人に、夜にお弁当を持ってきてもらいたい人に……そうしたニーズに応えることが重要。小さな商圏の中で、お客さんのニーズをくみとり、それに応えていかなければいけない。
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