「すき家」の長時間労働、改善されたが不十分――第三者委員会報告
「ワンオペ」など店員の過酷な労働状況が取りざたされた「すき家」。その後の改善状況をチェックする第三者委員会が報告書をまとめた。
「労務環境について一定程度の改善が示されたが、残業時間の改善は十分であるとは言い難い」――牛丼チェーン「すき家」を運営するすき家本部とゼンショーホールディングスに対して、職場環境改善の進捗状況を確認する第三者委員会が出した報告書は手厳しい。
ゼンショーでは、長時間労働の禁止するルール、休日の付与と連勤禁止のルールを設定し、その実現のために人事部門による営業部門の監視機能を強化した。例えば、品川本部だけで全国2000店舗弱の労働時間をチェックする体制から、7つの地域すき家を分社化し、それぞれが約300店舗の労働管理を行うように改めた。
職場環境改善促進委員会が3月31日にまとめた報告書によれば、2014年3月には月間で時間外労働時間が100時間以上となる従業員が231人いた。これは、非管理職員418人の55.3%に当たる。改善により2014年10月からは0人(2015年1月のみ2人)となった。
また、時間外労働時間が100時間を超えるクルー(パート・アルバイト)は、2014年3月に579人いた。これは全クルーの1.8%に当たる。4月からは改善傾向がみられたものの繁忙期の8月には全クルーの1.4%にあたる484人が該当した。10月からは大きく改善が進み、2015年2月には4人となった。
社員の月間平均残業時間をみると、2014年3月は平均109時間(前年同月比177.1%)だった。4月以降は減少傾向となり、10月以降は法定基準の45時間を下回る水準まで低下した。
報告書では、「長時間労働が発生しないように、従来はできていなかった事前の牽制ができるようになったことは評価できる」とするが、「改善の取組みに時間を要しているうえ、残業が60時間以上の従業員が相当数継続して存在していることも、労働環境が十分改善しているとは言い難い。引き続き対応の努力をすべきである」と結論づけている。
すき家では2014年2月から4月にかけて、「牛すき鍋定食」による作業負担増加などを背景とした従業員の退職をきっかけに全国の1割程度に当たる約200店舗で一時休業や営業時間の短縮を行わざるを得ない状況に陥っていた。
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