ダーツで席決め 好業績のカルビー、成長の源はオフィスにあった!:丸の内本社移転をきっかけに改革(3/4 ページ)
2009年に経営体制を大きく刷新したカルビー。それが功を奏し業績を伸ばし続けている。松本会長の号令の下、さまざまな経営改革に取り組んできた。その1つが本社移転をきっかけに推進したオフィス戦略だ。
会議を減らす、マネジメントも変える
オフィス改革による成果はどうか。まず、フリーアドレス制を広く敷いたことで、社員個々人の持ち物や会社備品が大幅に減った。書類などのペーパーは移転前と比べて7割も削減した。
会議の数も圧倒的に少なくなった。松本会長の「ノーミーティング、ノーメモ」という号令により、会議そのものを減らし、会議などのための資料作りも省力化した。
赤羽に本社があったときは、全国から社員を集めて工場長会議や支店長会議を毎月開いていた。そのほかにも執行役員会議や業績を確認するための事業部長会議などが多数あったが、それらを一切なくした。全体で会議数は従来の3割程度になった。
単に会議数を減らしたわけではない。マネジメントのやり方を変えて、社員は年に1度、上席者と目標設定ミーティングを行い、コミットメントを決めるようにした。その成果を確認するのは1年後なので、あとはすべて社員一人一人に任せるというスタイルにしたのだ。役員クラスについても、四半期や半期ごとの数字は確認するものの、今までのように毎月業績確認のためだけに会議を開くことはなくなった。
ただし、オフィス改革による効果としてより強く表れているのは定性的な部分だ。社員同士のコミュニケーションが深まり、部門や役職の垣根を越えた左右、上下のコラボレーションが生まれているという。「同じテーブルでさまざまな部署の社員が仕事をしているため、何かあればすぐにディスカッションできる。情報のインプットやアウトプットの量が目に見える形で増えているし、ビジネス上の成果にもつながりつつある」と田中氏は強調する。
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