ホークスの日本一に貢献した球団現場の“草の根活動”とは?:プロ野球チームの業務改革(4/4 ページ)
ソフトバンクが親会社になったことで、他球団と比べて積極的なシステム投資を行ってきた福岡ソフトバンクホークス。しかし球団スタッフであるスコアラーやスカウトなどの利活用は今一つだったという。なぜか……。
データを年々「濃く」する
こうした球団内での草の根的な取り組みが実を結び、スコアデータの入力などシステムの利活用が進んできたという。そこで蓄積された多種多様なデータを分析し、監督やコーチなど現場にフィードバックする。このサイクルを繰り返すことでデータの精度を高めていった。
この取り組みが成果として現れたのが、昨年の日本一である。野球をはじめスポーツでのデータ活用は今や当たり前になっているが、あくまで最後は選手のパフォーマンス次第。例えば、相手ピッチャーが次にどんな球を投げてくるか、球速や球種、コースまで完璧に正確なデータがあったとしても、バッターが必ず打てるとは限らない。
だからといってデータが無意味かというと決してそうではない。ホークスの場合、システム活用が進んだことで扱うデータ量や種類が増大し、より多角的な切り口での分析が可能になった。その結果、分析の精度が高まり、今まで以上に分かりやすく、よりポイントを絞って選手にアドバイスできるようになったという。その積み重ねが選手のパフォーマンスアップにも寄与したのではないかと考えている。
「現場での活用が進み、システムの質も上がったことで、データを今までの数倍も集められるようになった。一方で、選手に伝えるデータは1つか2つとシンプル。ただし、そのデータの濃度は年々高くなっているのだ」(関本氏)
2015年3月27日、セ、パ両リーグともに今シーズンが開幕した。ディフェンディングチャンピオンのホークスは追われる立場として、他球団からのマークがより厳しくなることは間違いない。それを球団が一丸となってどうはね退けるか。「世界一のビッグクラブ」に向けてますます真価が問われる1年となりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
過去3年で42%増! 横浜DeNAベイスターズのファンが増えている理由
プロ野球のペナントレースが終了した。3年前に誕生した「横浜DeNAベイスターズ」の成績は6位、5位、5位と低迷しているが、観客動員数は増え続けているという。その理由について、同社の池田純社長に聞いた。
市民球団「広島東洋カープ」、徹底した黒字追求型経営の姿勢とその裏側
今年は23年ぶりのリーグ制覇か! 「広島東洋カープ」ファンの“赤ヘル旋風”が巻き起こっている。市民球団のイメージが強い同球団だが、実は「39年連続で黒字」を達成している、徹底して黒字を追求する経営方針の企業である。だが、その裏に「知られざるカープ」の一面もある。
待ちの姿勢ではない球団経営を 横浜DeNAベイスターズ・池田社長
日本のプロ野球界において、7年ぶりに新球団が誕生した。経営面でその舵取りをする横浜DeNAベイスターズの池田純社長が語る未来図とは――。
球場経営、リーグビジネス……楽天が変えたプロ野球の仕組みとは
かつて日本では絶対的な人気を誇っていたものの、娯楽の多様化や地上波放送の回数減などで変化が生じているプロ野球。そのビジネスも変わりつつあるが、その変化をけん引している東北楽天ゴールデンイーグルスの井上智治オーナー代行が球場経営やリーグビジネスの考え方など、楽天が変えたプロ野球の仕組みについて語った。
元アメフトプレイヤー・有馬隼人さんに聞く:NFLから学ぶ人材スカウト術
なぜ米国でアメフトは人気が高いのか。その大きな理由の1つに「ドラフト会議」の面白さがあるのだという。元アメフトプレイヤーの有馬隼人さんに詳しく聞いた。