“若手”の「パルム」が、発売後7年で8倍も売れた理由:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(3/7 ページ)
発売してから今年で10年目の「PARM(パルム)」(森永乳業)が、ビッグブランドの中に食い込んでいる。アイスクリーム市場は定番商品が強いのに、なぜ“若手”のパルムは売れているのか。その謎に迫った。
パルム専用の機械を導入
土肥: ターゲットは決まった。次にどんな味にするかという話になると思うのですが、どのようにして決まったのでしょうか。
孫田: 開発チームは「なめらかさ」「口どけ」「コク」に特徴を出そうとしました。この3つの特徴を出すには、既存の機械では実現できません。工場に新しい機械を導入することが決まっていたので、パルムの特徴を引き出せるような専用の機械を導入しました。機械はデンマークから輸入したもので、当時の日本ではどの会社も使っていませんでした。
土肥: どのような特徴があるのでしょうか?
谷口: 通常のアイスクリームは、ステンレスの型の中に、砂糖液などを入れて、固めてから取り出します。パルムの場合は、箱の中に入れるのではなく、機械がアイスを押し出してつくっているんです。筒の中にアイスが入っていて、落ちてくるようなイメージですね。
土肥: トコロテンが押し出されてくるような感じですか。
谷口: ですね。シャーベットなどは既存の機械のほうが向いているのですが、パルムの場合はアイスクリームを急速凍結させることで、粒子が細かい状態で仕上がる。その結果、口当たりのよいなめらかなモノができます。
粒子の状態をタブレット端末でお見せできますので……(端末の画面を触りながら)あれ、あれ(汗)。
孫田: “なめらか”に出てこないですね……すいません。
土肥: ははは。あっ、見えましたね。
谷口: 最初にできる氷の粒の大きさと数の多さがキモなんです。流動性のある液体だと、氷の粒が大きくなるのに対し、パルムの場合は最初から冷やしているので粒が小さい。また小さい結晶がたくさんできるので、すごくなめらかな舌触りを感じることができます。
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