“若手”の「パルム」が、発売後7年で8倍も売れた理由:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(5/7 ページ)
発売してから今年で10年目の「PARM(パルム)」(森永乳業)が、ビッグブランドの中に食い込んでいる。アイスクリーム市場は定番商品が強いのに、なぜ“若手”のパルムは売れているのか。その謎に迫った。
「おいしい」という口コミが広がった
孫田: スタート時はものすごく苦労しました。当時のマルチパックは300円が多かったのですが、パルムは350円。やや高いので、流通の壁を痛感しました。「売りにくい」とか「値付けをどうすればいいのか」といった声があって、お客さんの手元になかなか届きにくい状況に陥りました。
店頭に商品を並べてもらえない日々が続いたので、「これはいかん」ということで試食販売を積極的に行いました。「パルムってこういう味なんです」ということを知ってもらうために行ったところ「おいしい」「これまでにない味」という口コミが広がっていきました。
土肥: いつごろから売れ始めたのでしょうか?
孫田: 初年度の春・夏はかなり苦戦したのですが、試食販売のほかに秋にテレビCMを打ったことで、少しずつ商品が売れ始めました。その後は順調に売れていきまして、機械をもう1台、さらにもう1台と増やしていきました。
土肥: 増産体制ですね。ちょっと前に巷で話題になった“売り切れ商法”と呼ばれないようにしなければいけませんからね(苦笑)。
孫田: 実は……2014年の夏、出荷調整という事態に陥りまして。たくさんの人にご迷惑をおかけしました。
土肥: アイスクリームは長期保存ができるので、あらかじめたくさんつくっておけばいいのでは。
孫田: 見込みを誤ってしまうと、どうしても品薄になってしまいます。昨年の夏は売れ過ぎてしまいまして、供給できない状況になりました。しかし、今年は作り置きをしていますので、大丈夫です!
土肥: 本当に大丈夫ですか?
孫田: だ、大丈夫です。想定以上に売れてしまうと製造が追いつかないかもしれませんが、今のところ見込みの範囲内であれば大丈夫です。
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