日本人がビザ取得でハマる、大学の専攻と現在の職種の違い:新連載・日米のビジネス事情の違いを知る(前編)(5/7 ページ)
米国でビジネスに力を入れている日本の起業家は、何を考え、どう動いているのか。米Six ApartのCEO 兼 米Infocom Americaの取締役を務める関信浩氏と機楽株式会社代表取締役兼ロボットデザイナーの石渡昌太氏が語り合った。
SXSWが日本で話題になっているワケ
関: 私は今回、参加者としてSXSWに初参戦する予定なのですが、石渡さんは出展者側ですよね。SXSWに向けて意識していることはありますか?
石渡: そうですね……私も初参戦なので、今年は商品を出して人に会って雰囲気を感じて、来年本気で取り組むための様子見になるかなと思います。ところでどうしてここ最近、こんなにSXSWが日本で話題なんだろうという疑問はありますね。
関: 2〜3年前から、日本からSXSWや「CES」(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー:毎年ネバダ州ラスベガスで開催される見本市)に行きましょうという流れが強くなっていますよね。最近のCESは行ってないんですけれど、出展物がロボティクスやIoTなど、日本が得意としている分野に寄ってきたようなので、強みを発揮しやすいと考えているからではないでしょうか。
だから、今回石渡さんが来られている経産省のプログラムもそうですけれど(※)、日本で「ものづくり」というキーワードがより頻出してきたのだと思います。ものづくりは、古くから日本人の主戦場ですからね。世界に挑む場のひとつとして、SXSWでもがんばれるという期待があるのではないでしょうか。
石渡: まあ実際どうなんだろう、とは思いますけどね。
関: と言いますと?
石渡: 最近では、作ったものを世界にアピールしたり、量産体制に入るための資金集め手段にしたりと、キックスターターなどの海外のクラウドファンディングサービスを使う日本企業が増えてきました。大手企業もスタートアップと手を組んで出品したりしています。でも実際には、多くの日本人関係者を巻き込んで、強引に“目標金額”を達成させている感じがするんですよね(キックスターターでは目標金額以上の出資が集まらなければ、資金調達は無効となる)。
というのも、海外のメディアに全く日本発のプロダクトの情報が載っていなくて。事業ですから、「何が何でも目標金額達成を!」という考え方も大事だとは思いますが、一方でクラウドファンディングサービスを使う時はもうちょっと潔く、「ダメならダメで次行こう次!」というノリでよいと思うんですよね。大企業が入っちゃうと、達成せざるをないところはあるのかもしませんが……。
関: まあ大企業の場合は、目標達成を前提に企画にゴーサインが出ることが多いでしょうから、1回失敗すると2度とやらせてもらえなくなる……という事情もあるのだと思いますよ。ですから「継続的によいものを生み出すために必要な出品だ!」というモチベーションよりも、「今回の成功」が短期的なゴールになっているのかもしれませんね。
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