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なぜ今“昭和型”コーヒーチェーンが増えているのか:新連載・消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(3/5 ページ)
コンビニコーヒーなどに押されて苦戦を強いられてきた「喫茶店市場」。しかし、ここ数年でV字回復の兆しを見せているのをご存じだろうか。そのけん引役になっているのは、西海岸風のオシャレな1杯……ではなく、日本の昔ながらの“昭和型”喫茶店だ。
コメダ珈琲店は、幅広いターゲット設定で郊外に出店し、規模の経済を働かせて店舗数と売り上げを拡大している。2015年2月期の全店売上高は479億6800万円と、前年比113.8%を達成。フランチャイズ研修を強化していることから、今後も出店の手を緩めないことがうかがえる。
また、コメダ珈琲店の大きな特徴は「ローコスト運営」を可能にしている点だ。コーヒーは自社工場で集中的に焙煎・抽出し、店内では提供前に温めるだけ。メニューは約100品目ある一方、食材を約20種類に抑え、調達力を強化しつつ廃棄を減らすことにも成功している。
一方、星乃珈琲店は、都心部からスタートし、ビジネスマンとシニア層をターゲットに、価格帯を高くして食事メニューの提供を行うなど、コメダ珈琲店とは差別化した戦略を採っている。
特に食事メニューについては、グループ内で展開しているスパゲッティーチェーン「洋麺屋五右衛門」のセントラルキッチンを活用したり、ドトールコーヒーと豆を共同調達するなど、グループのノウハウを最大限活用することで商品力を強化している。
その結果、15年2月期の直営店売上高は101億9500万円と、前年比186.8%の大幅増を記録。これまでは直営店での展開が多かったが、今後はフランチャイズ展開を強化して店舗数を拡大していく方針も掲げている。
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