映画界を変える団体「IndieTokyo」のすべて:現代映画を考える(後編)(4/4 ページ)
自分たちで映画の現場を変えていく――そう話すのは、映画団体「IndieTokyo」の主宰者で映画評論家の大寺眞輔氏。いま、東京の映画のシーンでは何が起きているのか。前回に続き、今回はインタビューの後編を紹介する。
独自配給・イベントなど活動内容は盛りだくさん
大寺:ホームパーティの第2回(6月7日)では映画監督の冨永昌敬さん(※6)の最新作『ローリング』が公開されるのに合わせた記念イベントを行います。さらに、8月にはIndieTokyoで独自に映画を配給するんですよ。渋谷のミニシアター・イメージフォーラムで、レイトショウで2週間上映する予定です。
2000年代の後半からアメリカのインディペンデント映画というのが盛り上がっているんですね。一部ではアメリカのDIY世代だとかマンブルコア派と呼ばれていて、すごく面白いんです。
その中から、日本でも2014年に公開されて話題を呼んだ『フランシス・ハ』のグレタ・ガーウィグが主演を務める『ハンナだけど、生きていく!』という作品を公開します。
もう準備はかなり進んでいますが、従来のやり方ではなく、IndieTokyoのやり方で成功させたいと思っています。日本の映画文化のためにも、こういうやり方でもヒットさせられるというのが実績として残れば大きいと思っています。
その後は第二、第三弾と映画配給プロジェクトもどんどん続けていく予定です。それと映画を上映するだけでなく、海外の映画作家を招いて日本の映画人と交流してもらうことも企画中です。
いまは6月に再びジョアン・ペドロ・ロドリゲスを日本に招くこと、そしてさらに年末にかけてフランスですごくブレイクしている若い映画作家を呼んで、日本に長期滞在してもらう中でいろんなイベントをやろうと考えています。これはかつてない動きですごく面白くなりそうです。
――IndieTokyoのような団体がゲリラ的に活動して、2つ3つと出てくるとより映画ファンは盛り上がると思うんですが、今後IndieTokyoのようなDIYの映画団体が映画界を盛り上げていくにはどうすればよいと思っていますか
大寺: 僕がこういうことを実現できたのはタイミングがうまく作用したからです。学生の頃から映画界で仕事をしてきたので映画界の人からは信頼もされているし、何かやるとなると協力してくれるコネクションもあります。
だから、いきなりこういうことを素人がやりたいと言っても難しい部分はあると思いますね。僕もDot DashやIndieTokyoを立ち上げる時にはものすごく苦労しましたから。
だから、DIYと言うのは助け合いの精神でもあると思うので、何かやろうという人はできればまずうちに連絡でも取ってもらって、できれば一緒に支え合っていきたいと思いますね。私たち一人一人でできることは限られている訳ですから。
こうしたさまざまなな活動をきっかけに、いろんな人たちと一緒に新しい時代を作って行きたいと思っています。
プロフィール:大寺眞輔(おおでら・しんすけ)
映画批評家、早稲田大学講師、アンスティチュ・フランセ横浜シネクラブ講師、新文芸坐シネマテーク講師、IndieTokyo主催。主著は「現代映画講義」(青土社)「黒沢清の映画術」(新潮社)。
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