ポカリ6億本の流通を止めない秘策、大塚倉庫の「ID戦略」とは?:売り上げ倍増へ(4/4 ページ)
ポカリスエットやオロナミンC、ボンカレーなど、大塚ホールディングスの多種多様な商品を全国の消費者に届けるべく、その物流業務全般を担うのが、グループ会社の大塚倉庫だ。近い将来、現状の倍となる売上高1000億円を狙う同社が推進する事業改革に迫った。
当日配送で車両回転率を上げる
このように物流の土台を整えた上で、中期目標の売上高1000億円に向けて大塚倉庫が今後取り組むべきは、トラック車両の回転率を上げることだという。その施策の1つが納品先に合わせた荷積みである。
大塚倉庫では、配送センターから納品先までの中継地点として全国に約50カ所の商品のストックポイントを設けている。現在、配送センターから商品をトラックに積む際はストックポイントの倉庫に適した配列で商品を積み、ストックポイントで商品を降ろして、納品先別に組み替えているという。それを配送センターで最初から納品先別に商品をピッキングして、ストックポイントで組み替えずにそのまま納品できる形にしていきたいと考えている。これによって出荷作業全体のスピードが早まるとみている。
もう1つは当日配送だ。現状は午前10時までに受注が確定したものを、翌日に配送するオペレーションになっているが、これを強制的に受注当日の午後納品にすることで、車両の回転率を高めるのが狙いである。
「今までは10時に受注が締まっても、メーカーから追加注文が来ると、それに対応せざるを得ないケースが多かった。その1件によって出荷作業全体が遅れてしまっていたのである。また、注文の約7割が午前中の配送指定とバランスが偏っていたので、その一部を前日に配送して物量の平準化を図りたかった」(西牟田本部長)
大塚倉庫は、ID倉庫およびID運輸によって、物量業務全体を可視化するとともに、属人化からの解放を進めてきた。しかし、ここからさらに収益を伸ばして経営力を高めるためには、“ラストワンマイル”を担うパートナーをいかにサポートしていくかが求められるはずだ。それがひいては物流サービスにおける大塚倉庫自身の競争優位にもつながるのである。
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