なぜ日本でデング熱が流行した? 国立感染症研究所・名誉所員の話:迫る脅威(2/3 ページ)
昨夏、デング熱に感染した患者が増え、市民の間で不安が広まった。では、今年はどうか。国立感染症研究所の名誉所員に、まだあまり議論されていない“問題”を聞いた。
ヒトスジシマカが発生するところ
Q: どういう症状がでれば「デング熱患者」と疑われるのでしょうか。
A: 発熱、血小板減少、白血球減少、筋肉痛 ――この4つの症状が見られたら「デング熱」と判断されます。このほか、発疹、関節痛、食欲不振などの症状もみられますが、昨年日本でデング熱にかかった患者をみると、4つ(発熱、血小板減少、白血球減少、筋肉痛)がほとんどです。
Q: 診断はどのように行われるのでしょうか?
A: 5月末にやっと保険が適用されました。検査料は1回2330円(保険適用の場合699円)なのですが、入院患者でなければいけません。検査が受けられるのは専用の機械を持っている病院に限られています。
Q: デング熱が騒がれたときに「蚊が媒介する」と報道されましたが、これはどういう意味なのでしょうか。
A: ヒトスジシマカがデング熱に感染した人の血を吸う→ウイルスが含まれた血液が蚊の胃袋に取り込まれる→ウイルスが胃袋の細胞に侵入して、そこで増える→全身の細胞に移動して、さらに増える→他人の血を吸うときに、ウイルスが注入される。
ウイルスを摂取してから、約7〜10日でいわゆる“感染蚊”になります。
Q: ヒトスジシマカはどういったところで発生するのですか。
A: ビニールシート、植木鉢の皿、墓石の花立て、古タイヤ、雨水(うすい)マス――いずれも水がたまっているところが理想的な場所です。中でも雨水マスが問題。1960年代ごろから雨水マスがいたるところにつくられました。道路や公園などにあるので、中を覗(のぞ)いてみてください。水がたまっていることが多いですから。この雨水マスがヒトスジシマカの発生源になっています。
ではなぜ自宅で蚊に刺されるのか。庭に蚊が発生するところがあるかというと、ほとんどありません。道路にある雨水マスで発生した蚊が、自宅の庭に移動してくるんです。
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