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インタビュー

日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません水曜インタビュー劇場(観光公演)(4/8 ページ)

「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。

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「観光立国」になるために必要なこと

土肥: 日本が「観光立国」になるためには、何が必要だと思いますか?

アトキンソン: 「おもてなし」「マンホール」「自販機」を忘れて、お客さまである外国人の声に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。相手が何を考えているのか、何を求めているのかを聞いて、そのニーズに合ったモノ・サービスを打ち出す。こんな話をすると、「観光業は難しいなあ」という声があるのですが、そんなことはありません。既にある観光資源の魅力を引き出し、お客さまが求めていることをやる――ただそれだけのこと。

土肥: うーん、難しい(笑)。

アトキンソン: では、もう少し具体的に説明しますね。1日24時間あって、3分の1は寝ています。次に残りの時間をどのように過ごしてもらうかを考えなければいけません。食事の時間は、朝・昼・晩で3〜5時間ほど。日本の食事はおいしいので、この時間は満足する人が多いでしょう。

 残りの11時間をどのよう過ごしていただくか。11時間ずーっと文化財を見て回れますか。できませんよね。11時間ずーっとショッピングをしますか。できませんよね。少し整理すると、食事をした後の時間をどうすればいいのかを考えればいいのです。朝ご飯を食べて昼ご飯までの時間をどうすればいいのか。昼ご飯を食べてから晩ご飯までの時間をどうすればいいのか。

 ここで大切なのは「も」という考え方。1つの強みを打ち出せば観光客はたくさんやって来るという発想ではなく、あれ「も」、これ「も」、それ「も」といった感じで、総合力で勝負しなければいけません。その中に、マンホールがあってもいいですし、自販機があってもいいでしょう。

 次に、晩ご飯を食べたあとの問題があります。食事を終えて寝るまでの時間をどのように過ごしてもらえればいいのか。東京や大阪といった都市部であれば、ショッピングやバーなどに行けることができますが、地方はどうでしょうか。文化財を見に行くことはできませんし、ほとんどのお店は閉まっています。なので、そうした観光地では「晩ご飯を食べてから寝るまでの時間は○○ができますよ」といった感じで、さまざまなサービスを用意しなければいけません。


小西美術工藝社は丹生都比売神社の修復工事に携わった(出典:同社)

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