オワハラは企業自らをオワらせる:致命的(2/3 ページ)
大学生の就活が本格化するとともに、学生の間からオワハラ問題が出ています。人事政策上、今の学生の心情を無視したオワハラは企業自身に致命的なマイナスを呼ぶ可能性があります。
オワハラの効果への疑問
人事担当者にとって内定者確保が死命を決するものであるほど重要なことはもちろん分かります。しかし今一度採用の戦略目標を考えてください。内定者を確保することは採用の目的ではありません。優秀な新卒学生が入社し、定着し、戦力化することこそ、新卒採用の戦略目標のはずです。オワハラはこの目標達成の邪魔になるのです。
今の学生がとても精神的にひ弱で、少しのプレッシャーでも過大な反応をしてしまうことは採用者ならお分かりでしょう。その学生を追い込めば、その場での同意は得られたところで、その結果はあくまでプレッシャーをかけた無理やりのもの。あとで冷静になれば、その決断は「無理やり言わされたもの」であり、本心ではないことが再確認されます。さらに今の学生にはもっとも大きな影響力を持つ親の存在があり、特に私立大学などは総力をあげてキャリアアドバイザーや就職指導がバックアップし、冷静な判断を支援する体制があります。
大人が冷静に考えれば、プレッシャーで無理に内定を受け入れさせるような企業には、たとえ有名企業・人気企業でも多いに不信を感じ、学生にもそうした意見を伝える可能性が高いでしょう。まして知名度に劣る企業や規模が大きくない企業が、焦って目の前にいる「欲しい」学生を無理やり囲い込もうとしても、今の日本でそれは不可能でしょう。いずれ冷静になった時に、無理を通した10倍以上のしっぺ返しを食らいかねません。企業の致命的なイメージダウンとなり、その翌年以後も後輩たちに悪い印象が伝わる恐れがあります。
やはりオワハラにはどう見ても企業側のメリットはありません。人事担当役員や経営幹部は、絶対に人事担当者の成績評価を無理やり作り上げた内定状況・内定数のような危険な数値で評価すべきではありません。それは自社にとって自殺行為につながりかねない危険な評価です。
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