「サステイナビリティ」をテーマにNYで起業した女性が語る、企業が直面し始めた課題とは?:日米のビジネス事情の違いを知る(4/8 ページ)
米国でのビジネスに力を入れる日本人アントレプレナー(起業家)は、どんなことに興味をもっているのだろうか。ニューヨーク在住歴17年の女性起業家、関口匠子さんに話を聞いた。
人材の中心は「ベビーブーマー」から「ミレニアム」へ
関: 通信業界にいた間のさまざまな経験が、起業につながったのでしょうか?
関口: ええ。先ほど申し上げた通り、買収によって一夜にして会社が様変わりする様子も見ましたし、ニューヨークに来て、9.11や、リーマン・ショックも経験しました。いろいろなことが起こる中で、職を失い国に帰る人もいれば、ニューヨークに住むことに対して信頼感を持てないという理由で、引っ越しをしていった友人もたくさんいます。本当、ニューヨークはこの数十年、「何でこんなに難しいところを通らなきゃいけなかったんだろう」と思うくらい、次から次へといろいろなことが起こりましたよね。まるで、「ここから出て行け」とでも言われているように。
関: 関口さんは、どうしてそんな状況を目の当たりにしても、ニューヨークに残ろうと?
関口: ニューヨークには、強靭な精神の持ち主が集まっているからです。ニューヨーカーは叩かれれば叩かれるほど強くなる、というか。あれらの出来事を経て今なおニューヨークに残っている人たちは団結力があるので、力を合わせて何かをやっていこうという強い意思を持っています。さらに彼らは、ニューヨークで何らかの価値を追求したいと考えている。だからここでだったら、新しい考えとか、ビジネスを展開してテストできるんじゃないかなと。世界中から才能のある人たちが、成功したい、クリエイティブに何かを作りたいと強い思いを持って集まっている魅力もありますよね。
関: それは、おっしゃるとおりだと思います。
関口: でもやっぱり大変なことが続き、人々が疲弊したのも事実で、多くの悲しい出来事を通じ、私を含むたくさんの人が、働くこと、企業、雇用主、従業員に対しての思いがいろいろ変化していったと思うんです。まず雇用主がどうなったかというと、予算が厳しくなったから、人材の使い捨てが始まりました。人を入れては半年、1年で人をどんどん入れ替えるなど。
関: 日本と違って米国は、容赦なくレイオフ(解雇)するところがありますからね。
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