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ヘタすりゃワーキングプア!? いまどきの印税事情:出版社のトイレで考えた本の話(3/5 ページ)
本の著者はどのくらいの印税を手にしているのだろうか。人気作家になれば「印税生活」を送れるかもしれないが、そんな夢を実現できるのはひと握り。ひょっとしたら、ワーキングプアに陥っている人も少なくないかも……。
ゴーストライターが受け取るお金
前回の記事では「ゴーストライター」について書いた。ライターから見た場合のライティング料は、主に「(1)原稿料のみ」「(2)印税」の2パターンがある。どちらのパターンでも、金額や印税率は全体の文字量や取材の煩雑さ、ライターの実績などに左右される。また、よほどの売れっ子著者でない限り、ライティング費用は実質的に「著者持ち」になることが多い。
(1)の場合、筆者の見聞きしたところでは、ライターにはおおむね60万円かそれ以上の原稿料が支払われる。原稿料は払い切りなので、本が売れても売れなくても金額は変わらない。
(2)は著者とライターとで印税を分けるやり方だ。多くの場合、両者の印税率は合計10%程度で変わらない。ライターにとっても本が売れれば自分の収入も増えるので、原稿料のみの場合と比べて「しっかり書こう」というモチベーションがより強くなる方式といえる。
具体的には、部数に応じて、著者とライターの取り分を変えるやり方が多い。例えば初版は著者:ライターが「2:8」で、重版以降は「8:2」というように変動する。この場合、発行方式で本の価格が1400円、初版が5000部とすると、初版時にライターには56万円が入る。だいたい初版で50万円かそれ以上がライターに支払われるように案分率が設定されることが多い。
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