第2世代の携帯Javaは何が変わるのか?

2002年にかけて,国内3キャリアは携帯Javaをアップグレード。第2世代に移行する。改良点はキャリアによってまちまち。差異はさらに拡大した。

【国内記事】 2001年12月4日更新

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各キャリアの仕様の違い

 各キャリアの第2世代Javaの仕様の違いを簡単にまとめると以下のようになる。

キャリアドコモJ-フォンKDDI
VM非公開JBlendJBlend
プロファイルDoJaMIDP+JSCLMIDP+KDDI Profile
アプリケーションサイズ30Kバイト80Kバイト50Kバイト
アプリが使う保存領域10Kバイトから大幅に増加の予定20Kバイト10Kバイト
HTTP通信
HTTPS通信×
Webサーバへのアクセスダウンロード元のみあらかじめ設定した3カ所まで
一般アプリ場合によって認証が必要
端末機能へのアクセス×
特殊機能2Dスプライト,3DポリゴンJavaアプリケーション同士の通信
JavaVMやプロファイルについては,第2世代になっても大きな変更はない。アプリケーションサイズは通信速度の高速化に伴って,ドコモ,J-フォン共に拡大する。アプリケーションが利用する保存領域は,ドコモでは「スクラッチパッド」,J-フォンでは「レコードストア」,KDDIは「データストレージ」と呼ばれる。それぞれHTTP通信もサポートし,一般の開発者がアプリを作成できるようになったのも,第2世代Javaの特徴だ。

504iではスクラッチパッドが大幅に拡大──ドコモ

 ドコモの第2世代Javaが搭載される「504iシリーズ」は2002年春の投入予定(9月10日の記事参照)。パケット通信が下り28.8Kbpsに高速化されるほか,多くの改良が行われるもようだ。

 ドコモのiiモード企画部長,夏野剛氏はJavaOneで行われた講演で,「次のiアプリは30Kバイトと大きなスクラッチパッド。スクラッチパッドはコンテンツの豊かさに大きく影響する」と語った。

 Javaアプリケーション用の保存領域であるスクラッチパッドは,アプリケーション本体とは別に画像などのデータを保存しておける領域。従来は10Kバイトだったが,アプリケーションサイズとスクラッチパッドを足すと,J-フォンの仕様をも超えるサイズになるようだ。

自由度高めたJ-フォンのJava

 J-フォンは2002年1月のパケット端末投入(11月5日の記事参照)と同時に,一般の開発者がJavaアプリを開発,提供できるようにする。既に技術仕様は公開されており,新端末からは公式コンテンツ以外のJavaアプリをダウンロードして実行できるようになる(11月28日の記事参照)。

 ただし,端末内のデータにアクセスできるなど自由度が高い仕様のため,無制限に公開できるわけではない。公開にあたっては「コンテンツアグリゲータ」と呼ばれる第3者機関の認定が必要。ネットワーク機能や,位置情報,着信履歴,メール着信履歴などをJavaアプリから利用できるが,それらを組み合わせて使うことはできない(11月28日の記事参照)。

 アプリサイズ80Kバイトにレコードストア(ドコモでいうスクラッチパッドに当たる)が20Kバイトと大容量なのもJ-フォンの特徴だ。

 J-フォンJavaの大きな特徴である3Dポリゴン機能も拡張される。従来と同じくエイチアイ製のエンジンが使われ(3月15日の記事参照),ポリゴンの半透過や光源処理がサポートされる。


左がパケット端末「J-SH51」の3Dポリゴン機能を使って描いた“うらら”。右は従来の「J-SH07」のもの。肌がのっぺりしていたものが,シェーディング処理によりリアルな陰影が付けられている


半透過ポリゴンで描画されたもの。写真では分かりにくいが,後方が透けて見えている

 J-フォンによると,これらの機能は「ソフトウェア自体をバージョンアップしたもの。処理は多少重くなるがハードウェア自体スペックも向上しているため問題ない」。従来と同じく特別なハードウェアを搭載せず,ソフト処理で実現しているという。

 J-フォンのJavaはマルチメディア処理を主眼においていることもあってか,操作のレスポンスがよい。また一時停止や待ち受け機能など,電話機としての機能を損なわずJavaを利用できる(6月26日の記事参照)。この点は,ドコモのiアプリが電話機を使っているのか,Javaを使っているのか,モードを切り替えるように使う必要があったのに対して,自然な感じを受ける部分だ。

ついにHTTP通信対応──KDDI

 これまでストレートタイプの「C451H」と「C452CA」だけだったKDDIのJava──ezplusも,次世代サービス対応機種からは標準サービスとなった。「C3000シリーズ」「C5000シリーズ」では,ついにHTTP通信をサポートする(10月2日の記事参照)。

 また,ezplusからアドレス帳やデータフォルダの内容を参照したり,Cメールの送信も可能。逆にWebブラウザからezplusアプリケーションを起動することもできる。Cメールを利用して,3社のJavaの中で唯一端末間通信も可能で,オムロンのJumonというミドルウェアを使ってP2Pも実現している(10月24日の記事参照)。

 ezplusからmail to,URL to,Phone toも可能になる。ドコモのiアプリでは,電話機能とJava機能が完全に分離されていたが,ezplusでは密接に連携した動作が可能になる。C3000,C5000シリーズの特徴であるgpsOneを使った位置情報を利用できるのも,ほかにはない特徴だ。

 アプリケーションサイズは,50Kバイト+データストレージ(iアプリのスクラッチパッドに当たる)10Kバイトと従来と変わらないが,通信速度と料金面は有利。現在のところ“ムービーケータイ”こと「C5000」シリーズのみだが,低価格なオプションを付けることで64Kbpsによるダウンロードが可能だ。

 約12Kバイト以上の大きさのアプリは,料金も大きく割り引かれる。日中の「お得タイム」と呼ばれる時間帯では,50KバイトのJavaアプリケーションも約50円でダウンロードできる計算になる。ドコモのiアプリが,わずか10Kバイトで24円のパケット料金がかかるのに比べると安価だ(11月12日の記事参照)。

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関連リンク
▼ NTTドコモ iモードJavaコンテンツ
▼ J-フォン Javaアプリ技術資料
▼ KDDI ezplus技術情報

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[斎藤健二,ITmedia]

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