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2002年7月11日 00:11 AM 更新
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テレビ電話対応PHSは禁断の果実?
テレビCMでも流れているように、FOMAの最大の特徴はテレビ電話。しかし、新型PHSの登場によってPHSでもテレビ電話ができることが明らかになってしまった
NTTドコモがテレビ電話対応の端末2機種を続けて発表した。これで、市場で入手できるテレビ電話機能付き端末は、4種類になったことになる。
左から、「Lookwalk P751v」「FOMA SH2101V」。そしてFOMA初のテレビ電話対応機「FOMA P2101V」と、生産が終了した「FOMA D2101V」
ちょっと気になるのは「Lookwalk P751V」。ほかのテレビ電話対応機がすべてFOMAなのに対して、こちらはPHSだ。FOMAに比べて通話料も安く、テレビ電話の品質もFOMAと変わりない。
ドコモはこの端末を「第3世代携帯電話の普及につながっていくもの」としている。つまり、“Lookwalkを使ったユーザーがテレビ電話の便利さに気づき、FOMAへ流れていく”ことを意図しているのだろう。なるほど……とも思えるが、PHSの「070番号帯」からFOMAへは機種変更はできず、直接FOMAの拡販に結びつかないのは苦しいところ。
逆に、このLookwalkは本当にFOMAの普及につながっていくのか? という疑問もある。
というのも、FOMAの特徴である「クリアな音声通話」「高速なデータ通信」などは、すべて携帯電話と比べての利点であって、PHSと比べてしまうとかすんでしまうからだ。その上、テレビ電話対応のPHSまで出てしまうと、「あれ、FOMAのメリットって……?」と悩んでしまうのだ。
例えば、料金もそう。LookwalkからFOMAにテレビ電話をかけた場合、1分で40円(プラン270)80円。一方FOMAからLookwalkだと、1分で68円(プラン69)もする。FOMA同士でも61円と割高だ。LookwalkをFOMAと比べると、通話料金でも利用可能エリアでもLookwalkが勝っている場合が実は多いのだ。おそらく音質品質でも、FOMAよりPHSのほうが上だ。FOMAのパケット通信は高速だが、料金の問題がありうまく生かすのが難しい。廉価な64K回線交換の場合、PHSのほうが安価に利用できる。
*7月18日付記:Lookwalk FOMA間のテレビ電話料金は少々複雑。Lookwalk間では10円/分でテレビ電話が可能だが、FOMAがからむだけで料金がアップする。11日時点の原稿で、FOMAとの間の料金計算に誤りがありました。お詫びし、訂正させていただきます。
“先端的な端末”を持っていることにステータスを感じる人はともかく、FOMAの提供する機能が必要だ、という人なら、Lookwalkを買えば満足できるのではないか。もっともPHSではiモードの公式サイトとiアプリは利用できないが。
ドコモがテレビ電話を普及させたいのは分かるが、本当にテレビ電話を使いたいならLookwalkが有利とは皮肉な話。しかもこれまでのテレビ電話対応PHSは失敗してきたというオチまでつく(1999年5月の記事参照)。
ドコモは今回、“FOMA的な機能を持つPHS”という禁断の果実に手を出してしまった──そんな印象がどうしてもぬぐえない。
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[斎藤健二, ITmedia]
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