KDDI、2010年のLTE導入へ向け前進──コアネットワーク機器ベンダーは日立
KDDIは12月3日、次世代のインフラにLTEを採用することを正式に発表し、コアネットワークの機器ベンダーには日立製作所を選定したことを明らかにした。基地局も2009年に開発ベンダーの選定を行う。
KDDIは12月3日、現在展開しているCDMA2000 1X WIN(CDMA2000 1x EV-DO Rev.A)の次の世代に当たる、第3.9世代の移動通信システムに、LTE(Long Term Evolution)を採用することを正式に発表。2010年までにLTEのコアネットワークと基地局の開発を完了する計画だ。
LTEは、NTTドコモやスウェーデンのEricssonなどが中心となって規格化と開発を進めてきた通信規格。携帯電話で最大100Mbpsを超える速度でデータ通信を行うことを目標に開発された、4G(第4世代携帯電話)へのステップとなる通信技術。標準化団体3GPPで標準化が進められており、間もなく正式なスペックなどが決定される。KDDIも2005年11月から3GPPに参加し、考案技術の提案などを行っていた。ドコモでは「スーパー3G」という名称で以前から開発を進めており、2010年ころには商用サービスを提供すると見られている。
KDDIでは、11月7日に総務省が開催した、3.9Gシステムの導入に関する公開ヒアリングの席上で、LTE採用を正式に発表。その際に、導入決定の理由として「コスト・汎用性」「国際動向」「将来発展性」を挙げていたが、今回改めて同様の発表をした。これで第3.9世代ではドコモとKDDI(少し遅れてソフトバンクモバイル)がすべてLTEを採用することが決まった。イー・モバイルもLTEの実証実験を行っている。
LTEのコアネットワークの機器ベンダーには、日立製作所を選定した。日立は3GPPで「SAE」として定義されている、コアネットワークノード、ネットワーク装置、監視制御の保守監視装置の共同開発ベンダーとなる。SAEとはSystem Architecture Evolutionの略で、LTEアクセスを収容するオールIPコアネットワーク技術のこと。
コアネットワークノードには、端末の位置登録や呼び出し、基地局間ハンドオーバーなどのモビリティ管理を行うMME(Mobility Management Entity)、LTEおよび3Gアクセスを行う携帯端末に対して、ユーザーデータの中継機能を実現するS-GW(Serving Gateway)、コアネットワークとマルチメディアアプリケーションをIPで実現するためのサブシステム、またはISPや企業ネットワークなどの外部ネットワークとの接続を実現するP-GW(Packet Data Node Gateway)、ポリシー制御や課金ルール機能を担うPCRF(Policy and Charging Rules Function)を含む。
日立は、カナダのNortel Networksと協力してLTEソリューションを開発する予定で、KDDIは2008年度内に商用コアネットワークの発注を行う。LTE対応の基地局設備も、2009年には開発ベンダーの選定を行う計画で、2010年にコアネットワークと基地局両方の開発を完了する。
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