端末選びの切り口が少しばかり変化した2011年:ITmediaスタッフが選ぶ、2011年の“注目ケータイ&トピック”(ライター本田編)
これまでのスマートフォン選びでは、スペックよりも自分の使い方にあっているか、また“余分なことを考えずに使える”かを重視してきた。そうなるとはやり「iPhone 4S」が1番だと思うが、2011年は端末選びの切り口が少しばかり変化した年だった。
“今年の注目ケータイ”ということで、3機種ほどお気に入りをピックアップしてみたい。筆者が新しい端末を選ぶ際、ハードウェアのスペックは優先順位としてあまり高くない。もちろん、その時代に合ったパフォーマンスであるか、またOSのアップデートを行っても余裕を持って動いてくれそうか? といった将来性は重視するが、“何が何でもハイスペック”といったマインドでは選んではない。
では何を考えながら選ぶかというと、自分の利用スタイルに合った契約か端末かを考えながら絞り込み、あとは細かなスペックや作り込みの度合いを見て1機種を選ぶ。だから、特定のメーカーやブランドにほれ込み、何がなんでもその機種を買うぞ! といった気合いの入れ方はしてこなかった。
端末としての完成度では「iPhone 4S」が一番
そんな筆者だが、ここ数年のメイン機種はずっと「iPhone」である。フィーチャーフォンもAndroidも、はたまたWindows Phoneも手にしてはいたが、主に使っていたのはiPhoneばかり。iPhone 3Gから3GS、4と、日本におけるiPhoneの歴史を発売日ごとにトレースしてきたのが2010年までのパターンだ。
その理由はハッキリしている。iPhoneはもっとも“余分なことを考えずに使える”、すなわち使いこなすためのノウハウが少なくて済むスマートフォンだと思うからだ。仕事やプライベートで端末を使う時、いちいちバッテリーを浪費するプロセスの数を気にしたり、クラウドとの同期設定を工夫してみたり、セキュリティ対策に気を使ったりはしたくない。
確かにiPhoneもフィーチャーフォンほどのシンプルさはないが、Androidに比べると明らかにユーザーの負担が少ない。操作性やアプリケーションの豊富さといった面もiPhoneの良さではあるが、突き詰めてみると“使いこなしで気疲れしない”ことが一番だ。
この状況は2011年末時点でも変化していない。従って、もっとも安心して勧められる端末は「iPhone 4S」以外に考えられない。iOS5は従来のiOSに比べてアンバランスな側面もあるし、日本語入力システムの質は一向に高まらないばかりか、変換精度はむしろ落ちていると感じている場合もある。それでも、Androidの使いこなしを誰かに教えるよりは、ずっといいと思うのが正直な気持ちだ。
ということで家族にはiPhone 4Sを使わせているが、筆者自身は使っていない。ということで、端末としての完成度ではiPhone 4Sが一番だと思うだが、心の中の順番は二番だ。というのも端末選びの切り口が、今年は少しばかり変化したからだ。
作り込まれた秀作「HTC EVO 3D ISW12HT」
2011年は春にWiMAX内蔵のAndroid端末が発売され、年末にはLTE搭載機もNTTドコモから登場した。北米などで「4G」と呼ばれる次世代通信の対応機は、従来の3G網と自動で切り替えで動作するWi-Fiテザリングが利用できる。特にWiMAXは都市部など、3G回線が混雑する地域を中心にエリアが広がり、PCを毎日持ち歩く筆者には魅力的だ。
そうした意味で、業界初の“4G”対応端末である「HTC EVO WiMAX」の存在意義は大きい。ボディが大きく重く、バッテリーの減りも速いが、それらを考慮してもWiMAXが使えるのは魅力的。auの+WiMAXは、KDDIがUQ WiMAXのMVNOになって、月額525円(ただし来春まで無料)でWiMAXが利用可能になるというサービスだ。
そもそも、スマートフォンを使うのであればデータ定額プランは必須だし、そこにワンコインを足すだけで、Wi-Fi機器からインターネットが利用できるのだから、そりゃぁどう考えてもお得だよね。
WiMAX単体のルーターではエリア外では通信できないし、XiはLTE+3Gで利用できるものの、WiMAXに比べてまだまだ圧倒的にエリアが小さい。現在はXi対応のLTEスマートフォンがNTTドコモから投入されたけれど、エリアと料金、Wi-Fiテザリングを視野に入れると、+WiMAXに対応していることが端末選びの基準になった。
というわけで、思わずEVO WiMAXに手が伸びかけたのだが、実際に購入したのは富士通の「ARROWS Z ISW11F」。しかし現時点では、「HTC EVO 3D ISW12HT」をナンバーワンに置きたい。HTC独自のカスタマイズUIである「HTC Sence 2.0」が組み込まれたAndroid 2.3は、派手なエフェクトのユーザーインタフェースが目立つものの、実は細かな使い勝手が良い秀作。ということで、今年を振り返っての一番のお気に入りはEVO 3Dとしたい。
サイズ感と使いやすさなら「Xperia Ray」
さて、こうした順位はそもそも一番しか意味がないんだと思うけれど、もし僕がドコモ回線をメインに使っていたならきっと「GALAXY S II LTE SC-03D」を導入していたかもしれない。しかし、あえてもう1台を選ぶなら、ソニー・エリクソン製の「Xperia ray SO-03C」だろう。このサイズ感と使いやすさは評価したい。バッテリーの持続時間に少しばかり不満があるが、おサイフケータイに対応していたらきっと嫁さん用に買ってと思う。
さて、2012年は多くのスマートフォンがWiMAXやLTEに対応するハズ。またソニーコンピュータエンターテイメント認定の「PlayStation Suite(PlayStation Certified)」対応端末も、いくつかのメーカーから出てくるようだ。
選択肢が増えてくれば、自分の利用スタイルに合った製品が選びやすくなる。またキャリアやメーカーが新しい提案をしやすいタイミングでもある。きっと2012年は、今年より悩ましい、言い換えると利用スタイルに合わせてスマホを選べられる状況になりそうだ。
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