第6回 “電話機”として便利に使える?(後編)――「ARROWS X F-10D」:ARROWS X F-10Dの“ここ”が知りたい
スマートフォンの中では電話関連の機能が充実している「ARROWS X F-10D」。今回は、通話を快適にする機能とIP電話機能を中心に調べてみた。
質問:通話を支援する機能はどんな感じ?
富士通製の携帯電話は、「らくらくホン」を筆頭に、音声通話を快適にする技術を積極的に導入してきた。それはスマートフォンになっても変わっていない。「ARROWS X F-10D」では、先代の「ARROWS X LTE F-05D」に引き続き「あわせるボイス2」「スーパーはっきりボイス3」「ぴったりボイス」「ゆっくりボイス」の4種類の通話支援機能が搭載されている。ゆっくりボイス以外の機能は本体での音声通話で利用できる。
あわせるボイスは、ユーザーの“耳年齢”に合わせて受話音質を調整する機能だ。従来はプリセットされている音声パターンを6種類の音質設定で聞いて、一番聞き取りやすいものを選ぶと、それに合わせて受話音質を調整する。F-10Dではこれに加え、「自分からだ設定」で登録した年齢にもとづいて音質調整することも可能になった。あわせるボイスの設定や自分からだ設定は、初期設定時に行えるほか、端末設定の「自分からだ設定」からも行える。通話中は、効果をOFF(無効)、弱い、普通、強いの4段階で選ぶことができる。初期設定では“普通”の効果が有効になっているので、必要に応じて設定を変更するようにしたい。変更は、通話画面で「あわせるボイス」をタップすればよい。
はっきりボイスは、周囲の騒音と通話相手の音声を照合し、騒音にかき消されてしまいそうな音域を強調処理して受話口に届けるもので、騒がしい中でもしっかり音声が聞き取れるようになる。ドコモや富士通がスポンサーをつとめるフォーミュラ・ニッポンのチーム「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」(http://www.dandelion-racing.com/)のレーシングカーでも採用されるほど、騒音に対する効果は抜群だ。ぴったりボイスは、はっきりボイスに付随する機能で、ジャイロセンサーや基地局で移動状況を検知し、それに合わせて通話音声の最適化する。これらの機能は、状況によって逆効果になることもある。その場合は通話画面から無効にするとよい。
ゆっくりボイスは、通話相手の話し方の“間”を検出して、ゆっくり聞こえるように調整する機能だ。その特性から、“間”を取らない話し方をする相手には効果が薄いのは以前から変わらない。
F-10Dではこれら4機能に加えて、「気配り着信」という機能が追加されている。周囲の騒音を検出して、着信音量と通知音量を自動的に調整するというものだ。静かな場所では音量を抑えて、騒がしい場所では音量を大きくする。標準設定では無効になっているので、端末設定の「音・振動」項目「気配り着信」を選ぶと設定できる。
質問:インターネット(IP)電話として使える?
Android 2.3以降は、OSの標準機能として「インターネット通話」という機能を搭載している。これは、無線LAN(Wi-Fi)環境下で端末をSIP準拠のIP電話用クライアントとして使えるというもの。メーカーや機種によっては、この機能が塞がれてしまっていることもあるが、F-10Dではしっかりと使える。端末設定の「通話設定」からアカウントを登録すれば利用できる。
SIP準拠のIP電話で、一般向けにサービスしている例として、NTT東日本・西日本がフレッツ光回線向けに提供している「ひかり電話」が挙げられる。筆者はNTT東日本のひかり電話を契約しており、「ひかり電話ルーター」として貸与を受けている「PR-S300SE」と、別途レンタルを受けて使っている「光ポータブル」のオプションであるWi-Fiクレードル「PWR-Q200-OP」の組み合わせでSIPクライアントとしてF-10Dを登録したところ、若干設定に手こずったものの、しっかり電話の発着信ができることが確認できた。ただし、ひかり電話との組み合わせでは、通話中にキーパッドを出して押しても、トーン音の送信ができない。自動応答サービスなど、トーン信号を送信する必要があるサービスは事実上使うことができない。また、着信番号通知もひかり電話環境では正常に行えない。SIPサーバの仕様によっては、いずれも行えるはずだが、筆者宅ではそこまで試験できる環境がなかった。
なお、インターネット通話では、前回ご紹介した「伝言メモ」を含めた通話関連の補助機能が使えないので、注意しよう。
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