第5回 iPhoneをもしのぐ勢い――躍進する中国メーカー“中華酷聯海”:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
中国国内の端末販売シェアに大きな異変が起きている。この1年で国内メーカーが急激に販売数を伸ばし、国内シェアの半数を奪ったのだ。特にスマートフォン市場ではシェア上位に国内メーカーが5社入るなど、各社は急激に力をつけはじめている。
新興勢力に加え老舗メーカーの復活も
“中華酷聯海”の躍進だけではなく、新規参入した新興メーカーもスマートフォン市場で存在感が高まりつつある。それらのメーカーは価格で勝負しているのではなく、特徴のある製品を投入することで大手メーカーとの差別化に成功している。なぜならすでに1000元スマートフォンは実質無料で購入できるなど十分安く、価格だけでは勝負にはならないからだ。
例えば、もともとは音楽プレーヤーを手がけていたOppoは音楽フィーチャーフォンの成功後、スマートフォンへ転向。イメージキャラクターにレオナルド・ディカプリオを使い、2012年夏にはHuaweiの「Ascend P1 S」の6.67ミリを抜く、厚さ6.65ミリの世界最薄スマートフォン「Finder」を発売。12月には5インチ1080pディスプレイ、クアッドコアCPU搭載の「Find 5」も発表した。同社のターゲットは主に若者層だったが、ビジネスユーザーやアーリーアダプターをも視野にいれたハイエンド製品も投入していく考えだ。
このハイエンド分野では、もともとはiPhoneのコピーを目指していたMeizu(魅族)、ユーザーが開発に参加し低価格で高スペック端末を投入しているXiaomi(小米)なども少数精鋭、年2~3機種を市場に送り出している。これらのメーカーの販売やマーケティング戦略はAppleを意識したもので、高級かつ高機能な製品であることを大きくアピールしている。メディアを招待した大々的な発表会はネットで生中継されるほどだ。
また、女性向け携帯電話専門メーカーとして2009年に発足したDoov(朶唯)も、2011年から積極的にスマートフォンを投入。ピンクや赤のボディカラー、女性向けアプリの搭載などで他社との差別化を図っている。2012年12月発売の「i1314」は、ホワイトとブラック2色のカラバリを用意し、ブラックはボーイフレンドすなわち男性向けの展開も図ろうとしているのは面白い。
これら新興勢だけではなく、老舗の携帯メーカーも1000元スマートフォンで市場への本格的な再参入を狙っている。前述したHaisenseも老舗メーカーの1つだ。Geonee(金立)、Hedy(七喜)、Changhong(長虹)など、フィーチャーフォン製造の歴史のある各社が2012年に入りスマートフォンを相次いで販売。中国全土に販売網を持っているため、今後台風の目になる可能性もある。
1000元台という低価格なスマートフォンが相次いで登場しただけではなく、国内メーカーの台頭とメーカーの相次ぐ参入により製品数が急激に増加し、消費者の選択肢が大きく広がった中国のスマートフォン市場。高いブランド力を持っている海外大手メーカーにとって、もはや中国メーカーは手ごわいライバルになりつつある。2013年はさらなる低価格化と製品数の増大により、競争はより激しくなっていくだろう。
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