キャンペーンからインフラ整備まで――NTTドコモ関西支社に聞く、春商戦期戦略:携帯電話事業者の熾烈なシェア争いと局地戦(後編)(3/3 ページ)
全国の中でも特に激しい競争が繰り広げられている関西エリアは、ドコモも苦戦を強いられている。関西エリアにおいて、ドコモはどのような施策で臨むのか。独自施策、キャンペーン、インフラ整備などの点を、NTTドコモ関西支社の担当者に聞いた。
4.Xiエリア化のスピードUPなど、環境面での現状や施策は?
FOMAからXiへの移行は進んでいるのか? エリアとしての課題は? という点を含め確認した。
大阪は東京よりもFOMAがひっ迫した環境になっていなかったことで、Xiスマートフォンへの移行が進んでいないのでは? と想定していた。しかし実際には、東京に次ぐXiスマートフォン市場ということで、「2GHz帯を5MHzから10MHz幅に拡大するなどの措置は進めているが、それとは別のバンドの活用も含めて考える必要がある」「1.5GHz帯・15MHz幅は2014年度からしか利用ができない」「2013年度は800MHz帯を10MHz幅に拡大することでスピードアップをしていくことを考えている(イチオシの施策)」「ターミナル駅や混雑する京都線・神戸線沿線、テーマパークなどの人が集まるエリアを中心に、優先的に展開していく」とのことだ。
800MHz対応Xi機種は、冬モデルでスマートフォン2機種のみ、タブレットとモバイルルータ各1機種の合計4機種のみであったが、今回の春モデル以降は800MHz帯にも対応した機種が基本となるため、新機種ユーザーが800MHzを主な帯域として使用するようなプライオリティ設定になれば、2GHzの混雑は抑制され、2GHzしか使用できない旧機種にとってもメリットがある。電波特性として屋内浸透も良いので、Xi 800MHz対応の基地局が増加すれば、よりつながりやすくなり、Xi接続が安定することが期待される。
東京のようにひっ迫した状態になる前に、スピーディなエリア対応がなされることで、関西でのユーザ満足度向上や転出抑制・転入獲得につながるものと思われる。
5.WebチラシやSNSなどのショップのネット活用プロモーションは?
ネットでのプロモーションは、現在、キャリアとして全国を基本としてFacebook、TwittterやLINEで実施している。
販売現場では、マイショップ活動としてマイインフォメールを配信し、ショップサイトに誘導している。iモードユーザにはiモードサイトへの誘導ができているが、spモードユーザーには、PCサイトを見てもらっている状況で、来年度にspモード用の作り込んだサイトをオープンさせて解消する予定だ。
マイインフォメールからマイショップページに誘導することで、ブランドとしての統一化を図り、必要に応じて各代理店が自社のショップページに誘導することも可能。この流れで、WebチラシもPCサイトと同様にspモードサイトで提供し、関西発の「ドコモショップ順番予約サービス」も組み込まれる計画だ。これにより、ドコモショップという統一されたブランドの中で、統一されたマイショップページを各店がシッカリと運用しなければいけない状況になりそうだ。
現時点で独自Webでの展開を行っていない代理店や店舗は、ネット活用の体制を構築する必要がある。すでに活用している代理店や店舗は、各店共通のマイショップページのフォーマットの中で特徴・特色を出すことでの差別化が必要になり、さらに各代理店各店の独自Webページに誘導して、より深い情報と独自のコンテンツ展開をすることになるだろう。
法に触れない範囲で、かつドコモのガイドラインに沿って各店舗が価格訴求などを展開することは問題ないということで、ネット活用に積極的な店舗や代理店が結果を残し、現在は制限があると言われているTwitterやFacebookといったSNSの活用も、ショップ運営のカギになる時代が訪れるかもしれない。
まとめ
ドコモが苦戦している全国2番目の商圏である関西エリアの取材を通じて、ドコモの局地戦を中心にいくつかの戦略・施策を確認できた。
これら施策は、ユーザーの利便性・ベネフィット・満足度を高める戦略として成功すれば、激しいシェア争い・純増競争で勝利するための全国展開につながり、苦戦から一転して強いドコモが復活するかもしれないと感じさせる内容であった。まずは、この春商戦の行方をウォッチして、あらためてリポートしたい。
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