4G対応と格安料金 生まれ変わったウィルコムの新スマホ戦略:「だれスマ」の本気度とは(2/2 ページ)
“だれ定”など音声通話がサービスの中心だったウィルコム。再建後の夏モデルでは、低価格路線を軸にした本格的なスマホ再参入を打ち出した。同社の端末と料金の担当者に勝算を聞いた。
フラッグシップの「DIGNO DUAL 2」で意識したポイント
そのウィルコムプランLiteを適用できる初のスマートフォンが、京セラ製のDIGNO DUAL 2だ。この端末は名前の通り、ウィルコムの初代AndroidスマホDIGNO DUALの後継機種であり、PHSと3G、そして新たに4G、すなわちAXGPにも対応したハイエンドモデルだ。
現在、AXGP用としてソフトバンクグループのWireless City Planningに割り当てられている2.5GHzの周波数帯は、経営破たん前のウィルコムにXGP(次世代PHS)用として割り当てられていたもの。それだけにDIGNO DUAL 2は、ある意味ウィルコムが本来目指していたスタイルを実現する端末ともいえる。
DIGNO DUAL 2の商品企画を担当した、ウィルコム マーケティング本部 商品企画部 端末企画課の島田健司氏によると、DIGNO DUAL 2はDIGNO DUALで実現できなかった要素を取り入れ、よりユーザーに選んでもらいやすいよう工夫がなされているという。そうしたポイントの1つとして挙げられるのが、おサイフケータイ、すなわちFeliCaへの対応だ。非対応であればカタログスペックで他社製品に劣ると見られ、ユーザーの選択肢から外れてしまうこともある。そうした部分で選択肢から外されないためにも、搭載が決まった。
また、従来よりウィルコムを利用しているユーザーを意識し、機能面での対応も進めているという。それを象徴しているのがライトメールへの対応だ。島田氏は、「ウィルコムをずっと使っている人にとっては重要な要素」と、機能追加の経緯を振り返った。
サイクルの長さを意識して最新スペックを備える
島田氏は、「ウィルコムは1つひとつの商品サイクルが長く、それも今回の端末開発において強く意識したポイント」と話す。特にDIGNO DUALは、Androidのバージョンが4.0の端末が主流となるタイミングにありながら、Android 2.3を搭載して発売された上、バージョンアップの提供にも時間がかかった。長きにわたって端末を販売する上で、当初からスペック的に見劣りする印象を与えてしまうのは、マイナスイメージになりやすい。
そうした反省を踏まえ、DIGNO DUAL 2は最新に近いAndroid 4.2、そして4Gの高速通信であるAXGPも搭載。トレンドスペックを押さえ、かつ長い期間の販売に耐えうる端末に仕上げているという。採用する通信方式が増えたことで端末開発の負担が大きいようにも感じるが、「ある程度の苦労はあったものの、2機種目ということもあり比較的順調に開発できた」(島田氏)ようだ。詳しくは、京セラの開発陣に取材した別項をご覧いただきたい。
DIGNO DUAL 2は、メインのターゲットを30~40代のサラリーマン、かつスマートフォンのエントリーユーザーに据えている。それゆえ豊富な機能を備え、使いやすさも重視した。同時に、最新のスペックを備えテザリングにもしっかり対応するなど、ウィルコムの“フラッグシップ”としての姿もあり、スマホを積極的に利用するユーザーの選択肢にもなり得る。そういう意味では、ヘビーユーザー向け料金プラン「ウィルコムプランD+」の利用も意識した製品でもある。
発売後に好調なスタートダッシュを切ったというDIGNO DUAL 2。島田氏は「勢いは非常に強く、このままいけば十分に勝算はある」と自信をのぞかせた。
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