iPhone導入でドコモが強調するもの/GALAXY Note 3の新しさ/イー・アクセス LTE実証実験の狙い:石野純也のMobile Eye(9月17日~27日)(2/3 ページ)
9月20日に「iPhone 5s」と「iPhone 5c」が発売されたこともあり、この2週間も話題の中心はiPhoneだった。今回はiPhoneを初めて導入するドコモの動きと、Samsungが海外で発売した「GALAXY Note 3」、イー・アクセスが1.7GHz帯で展開しているLTE実証実験について取り上げる。
「GALAXY Note 3」の世界を広げる「GALAXY Gear」
Samsung電子は、9月25日に5.7インチでペン入力が特徴の「GALAXY Note 3」を海外で発売した。GALAXY Note 3は9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFAで発表された新端末で、「GALAXY Note II」よりも画面を大型化し、解像度もフルHDとなった。CPUの性能を向上させ、3GバイトのRAMを搭載するなど、ベースとなるスペックも底上げされている。同社はベルリンでの発表時に、日本で10月に発売することも明らかにしている。
ただ、こうしたスペック以上にSamsung電子が強調しているのが、Sペンの用途を拡大したことだ。同社の 無線事業部 戦略マーケティング室長 イ・ドンジュ氏が「Sペンは、GALAXY Note 3でコミュニケーションツールとして強化した」と述べているように、ペンの位置づけが文字や絵を描くためのツールから、一般的な操作をより便利にするためのツールに改められている。
その代表例が、「エアコマンド」と呼ばれる機能。GALAXY Note 3ではSペンを画面に近づけ、ボタンを押すと扇状のメニューが出現する。ここに手書き文字が認識される「アクションメモ」や、Webや動画を自由に切り取って保存しておける「スクラップブック」などがまとめられている。ペンで操作するというコンセプトは、指で画面をタッチするスマートフォンに対する新たな提案だったが、誰もが絵を描くわけではない。そのため、海外ではプレスから、Sペンは本当に使われているのかという質問を耳にすることもあった。GALAXY Note 3に搭載された新機能は、こうしたニーズに応えるものと言えるだろう。
GALAXY Noteシリーズの売りである大画面を生かした機能も充実させ、マルチウィンドウ機能を強化。ファイルの受け渡しなどに対応したほか、一部だが同じアプリを2つ同時に立ち上げることも可能になった。また、Sペンで指定した範囲にミニアプリを起動する、「ペンウィンドウ」という機能にも対応している。
GALAXY Note 3の「コンパニオンデバイス」として企画されたのが、腕時計型の周辺機器「GALAXY Gear」だ。コンセプトは“スマートフリーダム”。スマートフォンと連携し、手を使わずにさまざまな操作ができるようにしたいという意図が、このキーワードに込められている。一般的なスマートウォッチと同様、通知の確認やアプリのインストールが可能。これらに加えて、電話や「Sボイス」による音声コントロールも行える。スマートフリーダムというコンセプトを掲げるのも、そのためだ。
「スマートフォンと連動し、その機能を高めること」(韓国マーケティングチーム ファン・スンフン氏)もGALAXY Gearの目的だ。GALAXY Note 3などと連携させる「スマートリレー」という機能を使うと、腕で通知を確認するのと同時に、自動的にスマートフォンの画面に表示される。スマートフォンを取り出し、わざわざアプリや通知をタップする必要がなくなるというわけだ。「GALAXY Gearと本体が1.5メートルぐらい離れると、自動的にロックがかかる」(同)という、オートロック機能も搭載されている。
一見すると正統進化のように思えるGALAXY Note 3だが、GALAXY Gearとの組み合わせで、Samsung電子は新たな利用スタイルを開拓していく構えだ。イ氏も「GALAXY Gearを通じて新しいコミュニケーションの文化とトレンドを生み出したい」と期待感をのぞかせる。ただ、日本ではGALAXY Gearの対応端末がGALAXY Note 3に限られている点が気になる。同社はGALAXY S4やGALAXY Note IIなど、過去の端末にも対応させていく方針だが、日本での展開は未定。Note 3の販売台数が市場規模のリミットになるのは、コンセプトが面白いだけに少々惜しい気もする。
こうした方針は、同じスマートウォッチを開発するソニーとは真逆だ。ソニーは周辺機器に対してオープンな戦略を採用し、レンズ型カメラの「DSC-QX10/100」もiOSに対応させた。ここには、スマートフォンでシェア1位の座を固めたSamsung電子と、これからシェアを伸ばしていくソニーという立場の違いもあるのかもしれない。
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