ソフトバンクが他社に先駆けて「音声定額」を導入――他社と消費者の反応を伺う「様子見」リリースか?:石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)
4月21日から通話定額とパケット定額をパックにした4Gスマホ向け新料金プランを導入することを表明したソフトバンク。ユーザーにとってお得なのか? 同プランの狙いを考えてみた。
また、今回、高めの料金プラン設定をしたのは、当然、儲けたいという理由もあるだろうし、LCCとして位置づけているイー・アクセス、ウィルコムとの差別化という狙いもあるだろう。
「金に余裕があってiPhoneを使いたいやつはソフトバンク」「貧乏人はイー・アクセスかウィルコム」という選択肢を消費者に与えているのではないか。無料通話できる回数と分数で比較すると、ウィルコムが安いのは明らかだ。ソフトバンクとウィルコムを同じ指標で比較できるようにしたことで、ウィルコムの安さが際立つ形となる。ソフトバンクのパック料金にKDDIとNTTドコモが追随すれば、さらにウィルコムが目立つようになるのは間違いない。
もちろん、他社の様子を伺うために、あえて高めの料金設定を出してきた可能性もあり得るだろう。本命のプランは隠し球としてとっておき、他社が発表したあとで、本命を投入することで「孫さん、格好いい!」という声につなげることもできる。「ユーザーの声に耳を傾け、料金設定を見直しました」とTwitterでつぶやけば、それもプラスのイメージに働くのは間違いない。
いずれにもしても、4月末までの3カ月間は、スマートフォンの音声料金を巡る戦いが勃発するだろう。今年夏あるいは年末にVoLTEの導入を予定していたキャリアも、前倒しで料金プランを発表しておき、ソフトバンクへの流出を阻止するという動きが出てもおかしくない。
KDDIの田中孝司社長は22日の発表会後の囲みで「VoLTEでは何が魅力になるのか」という質問に対し「ここで喋るとネタがなくなくので、また今度」と中身についてははぐらかしていた。単に音質が上がるだけではなく、おそらく料金の改定があると見て間違いないだろう。田中社長にはソフトバンク対抗として、ぜひ「適切な」音声定額プランを発表してもらいたいものだ。
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