「みんな、安いってよく書きますね」――KDDI田中社長がドコモ新料金プラン報道に「物言い」:石川温のスマホ業界新聞(1/2 ページ)
「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会(第4回)」終了後、KDDIの田中社長が囲み取材に応じ、これからは固定網がより重要になると語った。
4月15日に開催された情報通信審議会2020-ICT基板政策特別部会基本政策委員会終了後、ソフトバンクの孫正義社長がそそくさと会場をあとにするなか、KDDI田中孝司社長の囲みが実施された。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年4月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
―― 全体の流れを見ると、規制撤廃をどこまで譲歩するのかという流れを感じたが。
田中社長 規制の緩和を譲歩するというよりは、そもそもいま、規制緩和するのかというのがある。それでも世の中変わっていて、問題があるなら真摯に議論すれば良いと僕は思っている。だから、議論すれば良いのではないかと書きました。全部反対と言ったって仕方ない。
(★ NTTグループは規制緩和を進めたいという意図が見え見えだし)
―― 今日の議論は2010年に戻った感じもしたが。
田中社長 それほど進んでいないということなんですよ。これまで過去5年、10年はモバイルの歴史だったんですよ。最後の無線LANのところは別だけど、もう一回、固定の世界に戻る。
周りの国は競争が進んで、ヨーロッパですら40%を超えるシェアの事業者は居ないんじゃないですかね。もう一度、固定の世界に戻っていくのに、日本はそのままというのは問題じゃないのという意識。そういうのは一般の人はわからない。
モバイル、モバイルってなっているんだけど、でも、今日のうちの資料にも出しているんだけど、かなりの部分はオフロードされている。
次の世代になると、ザ・固定網ですよね。これは先の話なので、先を見ずして、規制をいじってしまうととんでもないことが起こる。
だって、過去の歴史はそうじゃないですか。世界中、100%のシェアを持っていたキャリアが、全部、競争環境でシェアを落としている。アメリカではモバイルはベライゾンで、固定はコムキャストでしょ。ヨーロッパは軒並みみんな、国の間で入り乱れている。
日本だけがダントツにNTT、それも72%がNTT東西さんで固定の時代に戻っていくんですよ。これって変じゃないですか。
一般の人はいまモバイルの時代だと思っているんですね。モバイルはモバイル端末だけど、通信ネットワークは固定に戻っている。
FTTHっていうけど、次は10Gbpsですよ。技術はそこまで見えている。そんな時代。
(★ 固定が重要となり、モバイルで戦う上でも固定網がないことには戦えない時代がやってくると田中社長は警告を鳴らす)
―― 総務省は結論ありきで議論を進めているように見えるが、この状況をどのように捉えているか。
田中社長 それに対して危機感を覚えている。通常、こういった最初のヒヤリングはふわっとした20年後、30年後の研究開発的な話になるんですけど(危機感があるので)、少し実際的な話をさせていただいたというのが本音。通常はこういったところにあんな報道がバンバンでないんですけど、ちょっと気になる。
(★ 実際的な話に落とし込みすぎて、議論が矮小化されているのは残念だけど)
―― 政治の意図というか。
田中社長 それはちょっとわからない。そこまでは。記者さんのほうがご存じじゃないですか。
―― このままいくとNTTの再統合につながるという強い危機感をお持ちだと。
田中社長 そうですね。そうでなきゃ、あんな記事はでない。
(★ とはいえ、さすがにNTT再統合まで話が行くとは考えにくいが)
―― 押し返す余地というのはどれくらいあるとお思いでしょうか。
田中社長 それはマスコミさんのご理解によるんじゃないですかね。我々が直接的に国民のみなさんに伝えることはなかなかできない。それを伝える役目はマスコミさんだと思っている。是非とも将来ってこういうことになるんだよ、というなかで、通信事業者が担う役割って何なのか。そういうときに競争がなくていいんですかね。という風に考えると、何がポイントなのかはっきりしてくるんではないか。
関連記事
石川温のスマホ業界新聞:月額2700円の完全通話定額は高いのか安いのか:―― 一気にプライスリーダーに躍り出たドコモの本気
ドコモの新料金プランの特徴は、「通話し放題」「パケット通信量を家族でシェアできる」という点。果たしてユーザーにとってお得なのだろうか。コミュニケーションの原点回帰へ――ドコモ加藤社長に聞く「カケホーダイ&パケあえる」の狙い
「最後まで通話定額には反対の意見があった」「無料通話分付きのプランを入れてもいいのでは」――。さまざまな選択肢を検討して悩んだ末に決まったという、ドコモの「カケホーダイ&パケあえる」。この新料金プラン誕生の背景を、ドコモの加藤社長に聞いた。ドコモ、固定や他社携帯もカケホーダイになる新料金を6月開始――スマホ向けは月額2700円から
ドコモは、スマホの固定・他社携帯宛通話を月額2700円で提供する新プランを発表した。家族間でパケット通信料を分け合えるデータ料金プランとともに6月から提供する。現行プランとの比較で探る:ドコモ新料金プランで「得する人損する人」――通話とパケット通信で検証してみた
「通話し放題」「パケット通信量を家族でシェアできる」といった特徴を持つ、ドコモの新料金プランが話題を集めている。どんな人が得をして、損をするのか? 現行プランと比較しながら検証した。一言ニュース:“複雑”と指摘のドコモ新料金――「それほど難しくはない」と加藤社長
ドコモが発表した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」。組み合わせパターンが多く“複雑”という声に対し、加藤社長は「それほど難しくない」とコメントした。新料金はおトク?:「カケホーダイ&パケあえる」は損か得か――ドコモのシミュレーターで今すぐチェック
ドコモの新料金はスマホだけでなくケータイやデータ端末なども対象のまったく新しい料金制度だ。果たして今よりもお得になるのか損をするのか。シミュレーターでチェックしてみよう。- スマホデビュー特集
© DWANGO Co., Ltd.