格安SIMとセットで使いたいIP電話アプリ――メリットとデメリットは?:はじめての格安SIM&SIMフリースマホ 第13回
パケット通信を利用するIP電話アプリは、通常の電話と比べて安く運用できるのがメリット。一方、デメリットがあることも理解しておきたい。
IP電話アプリなら割安で利用できる
前回の記事で紹介したように、MVNOのSIMカードにも徐々に音声通話対応の製品が増えている。一方で、店舗で本人確認ができず、SIMカードが郵送になるなど、音声通話対応のSIMカードにはまだまだ課題があるのも事実だ。「楽天でんわ」や「G-Call」などを使えば通話料は30秒10円になるが、普通に電話すると30秒20円(税別、以下同)と料金も少々割高だ。
そこで活用したいのが、IP電話アプリだ。音声通話対応のSIMカードが一般的になる前は、各社ともデータ通信専用SIMカードとIP電話アプリという組み合わせを打ち出していた。MVNOにも音声通話対応のSIMカードが広がった今でも、携帯電話の音声通話と比べれば、料金が割安になることは大きなメリットといえるだろう。
例えば、NTTコミュニケーションズが提供する「050 plus」は、同サービス同士や050番号を持つ多くのIP電話への通話料が無料となる。固定電話に通話した際も、3分8円と、30秒ごとに課金される携帯電話の通話料に比べてかなり安い。携帯電話にかける場合も1分16円だ。050 plusは基本使用料が300円かかるが、通話料がこれだけ安ければ簡単に元が取れる。例えば携帯電話宛ての通話なら、12分超でトータルの料金が逆転する。よりたくさん通話をするなら、050 plusの方がさらに安くなる。
「050 plus」の主な通話料(税別) | ||||
---|---|---|---|---|
基本使用料 | 300円 | |||
通話先 | 050 plusやIP電話の一部 | 固定電話 | 携帯電話 | PHS |
通話料 | 0円 | 8円/3分 | 16円/1分 | 10円/1分 |
IP電話アプリの基本使用料が0円になる場合も
ただし、この場合ネックになるのが、毎月300円の基本使用料が必ずかかる点だ。電話をほとんどしなければ、逆に割高になってしまう恐れもある。毎月の基本使用料がかかることに、心理的な抵抗感を覚える人もいるだろう。そのようなときは、基本使用料が無料のサービスを選ぶのも1つの手といえる。
一例を挙げると、au回線のMVNOとしてモバイル通信事業に参入したケイ・オプティコムは、「LaLa Call」というサービスを提供している。こちらは基本使用料が100円。au回線を使った「mineo」に加入していれば、基本使用料は0円になる。通話料は固定電話宛てが3分8円、携帯電話宛てが1分18円だ。このように、MVNO事業者が提供しているIP電話は、通信サービスとセットで使うと基本使用料が無料か割安になるケースはほかにもある。
LaLa Callの主な料金(税別) | |||
---|---|---|---|
基本使用料 | 100円(一般ユーザー)/0円(mineoユーザー) | ||
通話先 | LaLa CallやIP電話の一部 | 固定電話 | 携帯電話 |
通話料 | 0円 | 8円/3分 | 18円/1分 |
期間は最大12カ月と限定されているが、BIGLOBEも「AQUOS PHONE for BIGLOBE」と同時に申し込めば、IP電話の「BIGLOBEフォン・モバイル」の基本使用料が無料になる(本来は月額300円)。先に挙げた050 plusも、NTTコミュニケーションズの通信サービス「OCNモバイルONE」とセットなったプランがあり、こちらを利用すれば料金は月額1050円(フルスピードのデータ通信は1日50Mバイトまで)。050 plusなしだと900円のため、実質、050 plusが月150円で利用できる計算になる。
さらに、IP電話単体でも、基本使用料が無料のサービスもある。楽天でんわを提供するフュージョンコミュニケーションズの「IP-Phone SMART」がそれだ。IP-Phone SMARTは、月額料金が0円。通話料は回線の種別を問わず、30秒8円となる。上で紹介してきたほかのIP電話より固定電話などへの通話料は割高だが、その分基本使用料を無料にしてハードルを下げているというわけだ。これなら、頻繁に電話をかけない人でも気軽に契約できる。
IP電話アプリのデメリット
通話料が割安で、MVNOのデータ専用SIMカードでも使えるIP電話だが、デメリットもあることは理解しておきたい。1つは電話番号が携帯電話とは異なること。これらのIP電話では、050から始まる電話番号が割り振られる。携帯電話から移行しようとすると、友だちや家族、取引先などに、改めて電話番号を告知する必要が生じる。また、携帯電話とは異なり、警察や消防への発信といった緊急通話ができない。緊急通話は頻繁に利用するわけではないが、いざというときに安心だ。
また、携帯電話は通話専用に無線の帯域を確保している。ユーザーが多く、データ通信が込み合って使い物にならないような時間、場所でも、電話だけは問題なく使えることがあるのはそのためだ。一方のIP電話は、ほかの通信するアプリと扱いは同じ。データ通信が混雑していると、音質が下がったり、通話中に切断されたりといったことが起こる。通話品質の安定感という点では、携帯電話の音声通話に軍配が上がるといってもいいだろう。
逆に、IP電話はデータ通信が安定していさえすれば、特に問題なく通話できるし音質もいい。Wi-Fiに接続しているときも快適に使えるはずだ。こうしたメリット、デメリットがあることを念頭に置き、自分が利用するサービスを選ぶようにしたい。
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