光回線とモバイルのセット販売も検討――格安や映像を武器に伸びる「U-mobile」の戦略:MVNOに聞く(2/2 ページ)
2段階制の独自の料金プランを提供し、渋谷区の外苑前にリアル店舗もオープンするなど、MVNOとして存在感を高めているU-NEXT。オフィシャルキャラクターに“天使すぎるアイドル”の橋本環奈さんを起用したことも話題を集めた。そんな同社の戦略を聞いた。
独自の料金プランを展開する狙い
―― 「ダブルフィックス」など、特徴的な料金を打ち出していますが、このようなプランを取りそろえた背景を教えてください。
二宮氏 料金プランは、音声通話を始めたタイミングでかなり増やしました。データのみの場合は業界最安値を目指し、ダブルフィックスの1Gバイト以下で680円です。3Gバイトまでは1980円でご利用いただける2段階のプランですが、これが弊社の中では一番売れています。
マイページでトラフィックも見られるので、ユーザーがこれ以上使いたくないという場合は、通信を遮断すればいいですからね。1Gバイト、790円のプランも売れてはいますが、こちら(ダブルフィックス)の方が安くなります。
―― 1Gバイト以上使って1980円になってしまうことは、ほとんどないのでしょうか。
二宮氏 現実的には、1Gバイトも使っていない方は結構います。割合でいうと、1980円に(料金が)上がる方は大体1割から2割弱ぐらいですね。8割以上の方は1Gバイトで収まっていて、たまたま超える月もあるという感じです。
―― 音声通話対応のプランだと、売れ行きは異なるのでしょうか。
二宮氏 音声通話を組み合わせたプランで一番売れているのは、3Gバイト、1980円のものです。これは他社と比べても圧倒的な価格で、各キャリア(MNO)から乗り換えてくる方もいます。2台目のスマホやタブレットでご利用になる方はデータ通信のみ(のダブルフィックス)を選ばれますが、1台目としてMNPで電話番号まで移して使う方は3Gバイトぐらいが必要なようです。
―― 確かに3Gバイトで1980円は絶妙な設定かもしれません。ドコモの「Xiパケ・ホーダイ ライト」もちょうど3Gバイトでしたし。
二宮氏 開始にあたっては、ユーザートラフィックの平均も調べましたが、おそらく2Gバイトだとちょっと足りないというのが一般的なユーザーではないでしょうか。逆に7Gバイトまでいくと、少しビジネスユースな感じになってきますね。
―― この価格で、きちんと利益は出ているのでしょうか。
二宮氏 正直に言うと、もちろんすでに黒字化しています。
―― 現状だと、データのみと音声通話付き、どちらが多いのでしょうか。
二宮氏 まだデータの方が多いですね。例えば、先月は4万契約でしたが、ここには音声やデータだけでなく、M2Mやプリペイドも含まれています。通常の月額課金ユーザーでいえば、1万5000件ぐらいですね。そのうちの3割強が音声ユーザーというイメージです。
もちろん、比率はチャネルによって異なります。Webやショップだと圧倒的に音声が多いですが、NTTさんと連携してルーターとセットで売るような場合は、やはりデータが多くなります。
―― 音声の比率が3割強は、どこに原因があるのでしょう。例えば、MNPの申し込みに伴う本人確認の煩雑さがネックになっているなど、原因があれば教えてください。
二宮氏 MNPだと一定のリードタイム(申し込みからSIMカードが届くまでの間に、電話番号が使えない期間が発生してしまうこと)があるため嫌がれると思うからもしれませんが、実はWebで申し込む方の7割ぐらいがMNPです。料金が下がることを優先されている方が多いのかもしれませんね。ただ、ここはもっと手軽にMNPができるようになればいいと思っています。
―― ショップではMNPの比率が上がるかもしれませんね。
二宮氏 10月の中旬以降から、店頭でのMNPが行えるようになります。ショップは10月1日オープンでしたが、もう予約されている方もいらっしゃいます。
通話料が30秒10円になる割引サービス「U-CALL」も提供
―― 音声通話については、通話料が30秒10円になる「U-CALL」も始めています。MVNOが直接こういったプレフィックスを使ったサービスを手掛けるのは、面白いと思いました。
二宮氏 キャリア(MNO)が新料金プランを始めたとき、データ通信は何Gバイトでいくらという料金体系になりましたが、同時に音声通話には定額という概念が設けられました。でも、ビジネスユース以外で1カ月で2時間も通話をする人は、そこまでいないですよね。料金を半額(30秒10円)にすると、2時間かけても通話定額と同等ということで、こういったサービスを始めています。
―― サービスという点では、U-mobileのユーザーは、U-NEXTで使える600ポイントももらえるんですね。
二宮氏 この料金の中に、600円ぶんのU-NEXTのポイントが入っているので、かなりおトクだと思います。国内最大級の8万タイトルぐらいを配信していて、そのうち半分ぐらいが都度課金です。「アナと雪の女王」も1本400円なので、1か月分のポイントで見られる。かつ、テレビやタブレットでも再生できますからね。通信料を安くしながら、通信で何ができるのかは重要だと思います。
―― それは確かに、お得感があります。
二宮氏 映像サービスと絡めて、割安感を出せていると思います。また、光コラボレーションモデル(NTTが開始する、FTTHの卸売)も、当然参入させていただこうと思っています。
今はポイントのプレゼントだけですが、光コラボレーションモデルが始まれば、弊社は固定もあり、モバイルもあり、映像もありという立場になります。そういった、連携した商品の作り込みも視野に入れています。
―― MVNO同士の価格も横並びになる中で、そういった点が差別化になるとお考えでしょうか。
二宮氏 映像コンテンツや電子書籍までやっている会社は、まだありませんからね。十分な差別化になると思っています。
関連記事
1Gバイトの料金で3G/5Gバイトを利用できる「U-mobile」の大容量お試しキャンペーンがスタート
U-NEXTのモバイル通信サービス「U-mobile 通話プラス」で「大容量お試しキャンペーン」がスタート。最大2カ月間、1Gバイトプランの料金で月間3Gバイト~5Gバイトが利用できる。「U-mobile」の通話料が半額になるアプリ「U-CALL」リリース
U-NEXTのモバイル通信サービス「U-mobile 通話プラス」の通話料が半額になるアプリ「U-CALL」が登場。国内通話が30秒10円(不課税)となり、国際通話も対象となる。青山通りと外苑西通りの交差点にあります:U-NEXT、格安SIMカードなどを展示する「U-NEXTストア」を南青山に開店
MVNOサービス「U-mobile」を展開するU-NEXTは、都内の一等地にショップを開店した。LTEは非対応:ピーシーデポ、端末込み月1490円の格安スマホを9月発売 通話付きでMNPも可能
ピーシーデポは、端末代込み月1490円で利用できる格安スマホを9月に発売する。通話機能付きでMNPによる乗り換えも可能だ。しかもCA姿:「U-mobile」イメージキャラクターに“天使すぎる”アイドルの橋本環奈さん
U-NEXTは、高速モバイル通信サービス「U-mobile」のイメージキャラクターに橋本環奈さんを起用。キャビンアテンダント姿とブレザー姿のビジュアルも公開「U-mobile」に大容量&ライトサービスを追加――合計10プランに
モバイル通信サービス「U-mobile」に、データ容量1/5/7Gバイトのプランが新たに加わる。プラン名称も変更する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.