KDDIバリューイネイブラーがMVNO「UQ Mobile」を開始 ━━まずはドコモ系MVNOへの対抗で、本命は「パートナー企業の獲得」:石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)
KDDIバリューイネイブラーが、auの4G LTEを利用するMVNOサービス「UQ Mobile」を発表。ほかのMVNOとどう差別化を図るのか、菱岡弘社長に話を聞いた。
━━ 黒字化の期待はどのように見ていますか。
菱岡社長 その辺については、経営の部分で考えていますので、コメントは控えさせていただきたい。
━━ CDMAベースだと、メーカーが自由に端末を売るというのは難しそうだが、今後も自社調達が基本となるのか。
菱岡社長 今後も自社調達は進めていきます。
(★ 確かに自社調達しかないというのは、端末選びの面ではつまらないかも。早くVoLTE対応スマホが増えないことには、ここは改善しないな)
━━ SIMカード単体も売られていくのか。
菱岡社長 当然、SIMカードの単体販売も、このサービス開始当初から行います。
━━ その場合、接続できる端末に制約があると思うが、そのあたりはどうするのか。
菱岡社長 動作確認はau端末に関して行っており、ホームページ上に公開している。それでご確認いただくかたちになる。
━━ iOS8はなんで使えないんですかね。
菱岡社長 ちょっとわかりません。
(★ これ自分の質問。iPhoneやiPadが使えないとなると、パートナーも増えないのではないか)
━━ 使えるようになる見込みはあったりするんですか。
菱岡社長 うーん。努力はしていきたいと思いますけど、いまの時点では良くわからないです。
(★ KDDIの子会社なんだから、このあたりはしっかりして欲しいな)
━━ nanoSIMカードを提供しないようだが、最近のau端末ではnanoSIMカード端末も増えている。nanoSIMカードの提供予定がないというのはどういうことか。
菱岡社長 今の時点で(提供がない)ですね。来年、どこか早いタイミングで。
(★ 確かにisaiとかはnanoSIMカードだったはず)
━━ 即日開通は現時点でできるのか。
菱岡社長 即日開通ができるのは一部量販店さん、店舗によっても変わってくる。私どものほうで、即日開通ができる端末を用意している。設置している店舗では基本的に即日開通ができます。
━━ MNPも対応するのか。
菱岡社長 しています。私どものホームページにアクセスしていただいた方、できれば受付状態にもよりますが、翌日出荷というかたちで送るようになります。
━━ 来年度のSIMロック解除で使える端末が増えると思うが、そのあたりの期待はどうか。
菱岡社長 これは私どもだけでなく、MVNO事業者は喜びのほうに近いと思います。
━━ VoLTE、CA、WiMAX2+端末が揃うことになるが、それらサービスも使えるようになるのか。
菱岡社長 もちろん、対応端末があれば、使えるようになります。増えては来ると思いますけど。
━━ WiMAX2+が使えるようだが、UQコミュニケーションズやKDDIとはどういう立て付けになっているのか。
担当者 KDDIから借りるという形になっています。
━━ 今日、発表されたものは既視感がある。どのような点で差別化しようとしているのか。
菱岡社長 最初からすべて重装備できれば良いが、生まれたばかりの会社で、なかなかそういうかたちになっていないのは事実。パートナーブランドをどうタイアップしていくか、これを早めに世に出せるようにしていくことが大事。そこを強みとして打ち出していきたい。
(★ まぁ、会社設立から4カ月であり、まわりのMVNOによる競争も過熱していることもあり、この程度なのは仕方ないかも)
━━ 販売戦略上の差別化はどこになるのか。
菱岡社長 先ほども言いましたように、パートナーのところでしょうね。我々も量販店の店頭を活用させていただいたり、オンラインもやりますけど、パートナー支援型で、いろんなジャンルで、簡易型のMVNOをやりたい企業はたくさんいる。そういったところをしっかりと掘り起こしていきながら、陣営を作っていきたいと思っている。
(★ パートナーと組むことがKVEの存在価値だけに、早く見つけて、発表してもらいたい)
━━ 新会社をつくろうとしたのはいつぐらいのころからなのか。
菱岡社長 これはちょっと前、いやだいぶ前から検討はしていた。実際に本格的になってきたのは、今年度になってから。
━━ 8月に会社が創設され、4カ月ほどかかっているが。
菱岡社長 準備です。イチから全部、au事業で貸してくれればいいのですが、全然、貸してくれませんので。
(★ このあたり、ちょっと悲哀を感じる)
━━ KDDIの純増を稼ぐというのが大きなミッションととらえて良いのか。
菱岡社長 グループとして、当然、お客様が増えるというのはいいことですから、そこは当然、やっていかないと行けないミッションだと思いますけど。やはり、まず市場競争のなかで、au陣営がMVNO市場で埋没しないように、その宿命を帯びていると思っています。
取材を終えて
今回のKVEの発表は「とりあえず、すぐに使えるUQブランドを使ってサービスインさせてみた」という感が強い。KVEにとっては、本命はパートナーと組むことであり、そのパートナーが参入するイメージをつかみやすくするためにUQモバイルという「お手本」を立ち上げたという感じだ。現状は、使用できる端末も、KVEが用意したものとauが提供してきたスマホに限られているため、なかなか広がりが出ないのが残念なところだ。SIMロック解除が義務化されても、他社のスマホでKVEを契約しても音声通話ができないわけで。VoLTEもKDDIは独自のシンクコール機能を入れており、将来的にSIMフリーのVoLTE対応スマホが売られるようになっても、auネットワークで対応できるか未知数なところもある。
果たして、KVEで使える端末がどれだけ市場に出てくるのか、と言う点は、KVEを評価する上でひとつの指標となりそうだ。
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