スマホ、ウェアラブル、通信キャリア、MVNO――2014年に気になった私的トピック:ITmediaスタッフが選ぶ、2014年の“注目端末&トピック”(編集部田中編)(1/2 ページ)
2014年も、何だかんだでいろいろなニュースがモバイル業界をにぎわせてくれた。スマートフォン、ウェアラブル、通信キャリア、MVNOの4点から、個人的に気になったトピックを挙げながら、つれづれなるままに振り返ってみたい。
2014年はMVNOが盛り上がったり、ウェアラブル機器が多数登場したり、大きくなったiPhone 6/6 Plusが発売されたり、スマートフォンでは驚きが減ったと言われつつも、いろいろなことがあった。例年は端末を中心に振り返ってきたが、今回は個人的に気になったモバイル業界のトピックを、つれづれなるままに振り返ってみたい。
AQUOS CRYSTALは、近年まれに見る驚きのあったスマホ
まずは端末について。個人的なベストスマホに挙げたいのは、シャープの「AQUOS CRYSTAL」だ。スマートフォン・オブ・ザ・イヤーでも多くの識者が推していたが、やはりあのフレームレス構造のインパクトがすごかった。5万円台とはいえ、スピーカーとセットで買う気にはなれなかったので、筆者は「ケータイアウトレット」で白ロム端末のみを購入した(10月上旬に1万円台後半で購入できた)。
実際に使ってみると、あらためてフレームレス構造のすごさを体感した。8月の発表会で初めて触れたときも確かにすごいとは思ったのだが、普段使いでAQUOS CRYSTALに触れると、じわじわと使う喜びを感じられるようになった。AQUOS CRYSTALの開発者インタビューで、シャープの担当者が「この製品は長年愛用できます」と話していたのが印象的だったが、実際に使ってみてその通りだと思った。画面を見る、スクロールする……そんな単純な操作だけで満足感を得られる端末に出会えたのは初めてかもしれない。
幅を67ミリに抑えたことで、ディスプレイが5型ながら片手で操作しやすいことも高く評価したい。幅67ミリは、4.7型のiPhone 6と同じだ。5.5型で幅73ミリの「AQUOS CRYSTAL X」もすごいが、個人的に幅が70ミリを超えると片手での操作は厳しくなる。67ミリで5型というサイズ感が、自分にとってはぴったりだった。そんなわけで、AQUOS CRYSTALは近年まれに見る「うおお!」と思える端末だった。
iPhone 6は持ちやすくもあり、持ちにくくもある
iPhoneは、自分はiPhone 6 PlusではなくiPhone 6を選んだ。iPhoneはメインで使っていてポケットに入れて持ち運びたいのと、通話やメールに使うことが多いので、片手で持ちやすいiPhone 6がベストなサイズと判断した……というシンプルな理由だ。AQUOS CRYSTALほどの驚きは乏しかったが、やはり6.9ミリにまで薄くしたことは、素直に感心してしまう。
ラウンド形状のボディも気に入っている。iPhone 5/5sのエッジカットを施した側面の処理は、見た目は美しかったが、手に引っかかる感じがして持ち心地はあまりよくなかった。持ちやすさで言ったら「iPhone 3G/3GS」や「iPhone 5c」の方が好きだった(iPhone 5sが5cの形状だったら……と思った)。iPhone 6では表も裏も丸みを帯びて、格段に持ちやすくなった。デザインも3G/3GSのようなやぼったさはなく洗練されており、見た目と持ち心地のよさを見事に両立させた。
一方で、HTC J butterflyやZenFone 5のような人間工学に基づいたフォルムではなく、フラットな金属素材で側面のみが丸みを帯びているので、いかんせん滑りやすい。6.9ミリの薄さは確かにすごいのだが、もう少し中央部に厚みがあってもよかったのでは……とも思った。
Xperia Z3よりもZ2の方が愛着が持てた
Androidで筆者が使い続けているXperiaは、2014年はXperia Z2、Z3と順当に進化を遂げたが、個人的に愛着が湧いたのはXperia Z3ではなくXperia Z2だった。気にしすぎと言われたらそれまでなのだが、Xperia Z3は背面のガラスとメタルフレームの間に微妙な隙間があったり、傾きのあるところに置くと、本体が滑っていつの間にか落ちてしまうことが多かったり、手にしてもツルツルして滑りやすかったりで、正直なところあまり愛着が持てていない。Xperia Z2からの進化が乏しいというのもあるのだが。
Xperia Z2は、金属と樹脂を一体成型させたインサートモールディングが新鮮だったし、樹脂の部分が滑り止めの効果を生んでいて手のフィット感も抜群だった。Xperia Z3のガラスとメタルのボディは確かにカッコイイのだけど、iPhoneでも実現している(iPhone 6の背面はガラスではないが)。それよりもインサートモールディングの方が「おお!」と思えたのだ。Xperia Z3よりも重くて幅も太いのだが、Xperia Z1よりは狭額縁化と軽量化が進んでいるので、許容範囲といっていい。
Xperia Z1からの進化では、「ノイズキャンセリング」に対応したことが大きかった。自分がWalkmanを使っていることもあるが、Walkmanのイヤフォンをそのまま使ってノイズキャンセリング機能を有効にできるのもうれしい。Xperia Z3も単体でのハイレゾ音源再生に対応したが、肝心の対応イヤフォンやヘッドフォン、そしてハイレゾコンテンツを十分に持っていないので、残念ながらまだその恩恵は享受できていない。あと、やっぱりXperia Zシリーズといえばパープルだよね、というのもあり。……というわけで、2014年に“Xperiaらしさ”を最も感じられたのはXperia Z2だった。
また、半年に1回、フラッグシップモデルをリリースするという商品サイクルは、個人的には短すぎると感じる。Xperia Z1→Z2→Z3といずれのモデルも買い換えている筆者のような人間は少数派だろうが、Xperia Z2をようやく使い慣れてきたと思ったら、もうXperia Z3が登場……。仕事柄、Xperiaは最新モデルを押さえておきたいので、泣く泣くXperia Z2とお別れしたのだった(端末自体は手元に残しているが、飼い殺し状態になっている)。
ほかにも、例えば夏モデルのXperia Z2を、迷ったあげくに8月に買った人が、9月のIFAでXperia Z3が発表されたのを見て、どう思うだろうか。愛着が湧くどころか、テンションが下がってしまう人もいるだろう。サムスン電子のように、GALAXY SシリーズとNoteシリーズをそれぞれ半年ごとに出すか、Xperiaならスマートフォンとタブレット(あるいはZ Ultra)を交互に出すなどして、フラグシップのXperiaは年に1回、ドーンとスペックアップさせた方がインパクトは大きいと思うのだが、どうだろう。
ウェアラブルも“SIMロックフリー”に注目
2014年になってドドドっと製品が登場し始めた「ウェアラブル」。特に、Androidスマートフォンと連携する「Android Wear」を搭載した機器が目立った。
そんな中で筆者が使ったのは、ソニーモバイルコミュニケーションズの「SmartBand」と、ASUSの「Zen Watch」。SmartBandはAndroid Wear搭載機ではないが、エンタメアプリやSNSのコミュニケーションまでを記録してくれるのに新しさを感じたのと、ソニーモバイルの「Lifelog」アプリが楽しそうだったから使うことにした。(これはほかの活動量計でも計れるが)睡眠のログを取るのにも興味があった。
が、いざ使い始めてみると、あまり長続きしなかった。ログを取るだけならXperiaをポケットに入れっぱなしにしていても変わらないし、睡眠中にまでリストバンドを装着したくない……というシンプルな理由だ。あと、腕に付けるのなら、時計ぐらい見たいよね……と思っていた矢先に、電子ペーパー搭載で時刻も分かる後継機「SmartBand Talk」が発表されて、一気にテンションが下がってしまったのだった。
続いて使用したのがZen Watch。スマートウォッチの類はゴツくて、装着し続けると腕が疲れてしまうのではないかという懸念があったが、実際に装着してみると、思ったよりもかさばらず、違和感なく使えている。付属の革ベルトもなかなかオシャレだし、ガジェットというよりも腕時計という印象の方が強い。充電をするのに専用のクレードルへの装着が必要で、バッテリーも当初は1日ほどしか持たないのがネックだったが、Android Wear 5.0.1へアップデートした後は、体感的に1.5~2倍ほどバッテリーの持ちが良くなった。Android 5.0でも標準搭載されているが、Zen Watchと接続しているときは、スマートフォンのロックを簡単に解除できる機能も気に入っている。
しかし現在のウェアラブル端末は、あくまでスマートフォンのパートナーという位置付けで、スマホがないと、時計側で各種情報を受け取ったりはできない。ウェアラブルがスマホに取って代わる存在になるには、ウェアラブル単体で通信が可能になる必要がある。その点で気になったのが、SIMロックフリーの“スマートウォッチフォン”だ。例えばANYYOUONが2015年1月下旬に販売予定の「SmartGear49」は、11月11日に初期ロット300台の予約を開始したところ、2週間ほどで完売するなど、注目を集めている。
SIMカードを装着すれば、単体で通話やデータ通信ができ、500万画素カメラも搭載している。GPS、加速度センサー、電子コンパス、近接センサー、Bluetooth 4.0、Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)もサポート。スマホいらずでスマホと同じことができてしまうのだ。ANYYOUONの古林氏によると、製品を発表してからは「お年寄りからの問い合わせが多い」という。「これで電話ができれば、スマホなんか使う必要はないという感覚」だそうだ。倉庫業や運転手など、両手がふさがっている状態で通話ニーズの高いビジネスでの用途も想定している。
どうしても分厚くなってしまうサイズと、1.54型という小さい画面、そしてバッテリーの持ちが課題だ。スマホの大画面での操作に慣れた身としては、1~2型程度のディスプレイでブラウジングや文字入力をするのは窮屈だ。時計に向かって話しかけるのも、近未来的ではあるが、やはり恥ずかしい。バッテリー容量は650mAhとあって、「朝持ち出すと、14時くらいでバッテリーが尽きてしまう」(古林氏)というのでは心もとない。まだまだ課題は多いが、ライフスタイルを変える可能性を秘めたデバイスとして記憶に残った。同様に、OSにTizenを搭載し、3G通信を内蔵したサムスン電子の「Gear S」も気になっている。
関連キーワード
MVNO | KDDI | Firefox OS | au WALLET | 孫正義 | Fx0 | AQUOS CRYSTAL | フリービット | HTC J butterfly | ケイ・オプティコム | isai LGL22 | G Flex LGL23 | isai FL LGL24 | Pepper | ファブレット | SIMカード | Xperia Z Ultra SOL24 | ワイヤレスゲート | VoLTE
関連記事
写真で解説する「AQUOS CRYSTAL」
極限までディスプレイのフレームをなくし、サウンド面も強化したシャープ製の新型スマートフォン「AQUOS CRYSTAL」。ソフトバンクモバイルとSprintとの共同開発で注目を集めている同モデルの見どころをお伝えしよう。大きくなった「iPhone」の使い勝手は? 旧iPhoneやiPad miniと比べてみた
「iPhone 6」の実力を測るロードテスト第1回は、4.7型に大画面化したディスプレイや端末のサイズ感に着目した。過去機種とスペックで比較――「Xperia Z3/Z3 Compact」はココが進化した
IFA 2014の開催に合わせて発表された、ソニーモバイルのフラッグシップモデル「Xperia Z3」。Z2やZ1からはどこが進化したのだろうか? 同時に発表された「Xperia Z3 Compact」もあわせて、スペックを比較しながらチェックした。Z1とここまで違う――「Xperia Z2」の高剛性と軽量化を両立させた“新技術”
Xperia Z2は、ガラスパネルと金属フレームを使ったデザインをZ1から継承しているが、Z2ではさらに一歩踏み込んだ工夫を施している。そこで大きなカギを握る手法とは? Xperia Z2のインタビュー第1回では、デザインと機構設計の裏話をお届けする。ソニーモバイル、リストバンド型の「SmartBand SWR10」を5月23日に発売
歩数、消費カロリーからエンタメやコミュニケーションまで幅広い活動を記録できるリストバンド型のデバイス「SmartBand SWR10」を、ソニーモバイルが5月23日に発売する。Android 4.4のスマートフォンで利用できる。話題のAndroid Wearデバイスをレビュー! 使って分かった意外な弱点
続々と登場するAndroid Wear搭載のウェアラブル端末だが、その使い勝手はどうなのか。主要な4デバイスをピックアップし、実際に使ってみて感じたことを紹介したい。Android 4.4搭載、SIMロックフリーの“スマートウォッチフォン”「SmartGear49」登場
単体で3G通信ができるSIMロックフリーのスマートウォッチフォン「SmartGear49」の予約が開始された。Android 4.4を搭載しており、GPSやカメラも備えている。2015年1月下旬に出荷予定。“いわゆる電子マネー”とはちょっと違う「au WALLET」
auポイントサービスも統合される「au WALLET」は、プリペイド電子マネーでありながら、クレジットカードと同じように使えるユニークなサービス。発表会場の展示内容などを含め、改めてその特徴を整理する。田中社長「Fx0はスーパークールなスマホ」――KDDIがFirefox OSで目指す世界
「ギークの皆さまのために作ったスマホ。まったくビジネスのことを考えていない」とKDDI田中社長が説明するFirefox OSスマホ「Fx0」。KDDIはなぜFirefox OSに着目したのか? そしてFx0ならではのこだわりとは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.