スマホ、ウェアラブル、通信キャリア、MVNO――2014年に気になった私的トピック:ITmediaスタッフが選ぶ、2014年の“注目端末&トピック”(編集部田中編)(2/2 ページ)
2014年も、何だかんだでいろいろなニュースがモバイル業界をにぎわせてくれた。スマートフォン、ウェアラブル、通信キャリア、MVNOの4点から、個人的に気になったトピックを挙げながら、つれづれなるままに振り返ってみたい。
通信キャリアでインパクトが大きかったのは「KDDI」
2014年の通信キャリアで個人的に「面白い!」と感じたのはKDDIだった。ファブレット「Xperia Z Ultra」「G Flex」や独自スマホ「HTC J butterfly」「isai FL/VL」、クレジットカードを用いたプリペイド型の決済サービス「au WALLET」、予告通り発売にこぎ着けたFirefox OSスマホ「Fx0」など、auならではの端末やサービスを積極的にリリースした。3社が発表したVoLTEも、「シンクコール」「ボイスパーティー」といったau独自の機能も載せた。KDDIの田中社長は常々、「同質化の戦いから新しい価値を訴求したい」と述べていたが、2014年はそれを体現できたといえる。
ドコモは他社に先駆けて音声定額サービスを開始し、ほか2社も同じ料金体系で追随し、結果的に2014年の料金はドコモが引っ張った形になった。これは見事だったが、旧プランの新規受付を早々に停止し、毎月の利用料金から割り引く「月々サポート」も、新料金プラン契約者しか対象にしないなど、どこかちぐはぐな面もあったと感じる。選択肢を増やすはずの新料金プランが、逆に選択肢を狭めてしまったのは残念でならない。
ソフトバンクは孫社長の宣言通り、2014年はまとまった製品発表会は行わず、孫社長のコメントが聞けるのは決算会見が中心になってしまった。目立った発表といえば、米Sprintと共同調達したAQUOS CRYSTALの発表会くらいか(しかし孫社長は登壇していない)。Pepperの発表もインパクトは大きかったが、モバイルの分野かと言われれば違う気もする。「スマ放題」「アメリカ放題」などの発表もあったが、大手3キャリアの中ではインパクトが不足していた感は否めない。ソフトバンク傘下のワイモバイルは、冬の発表で「シェアプラン」を打ち出して「Iot」を推進するなど(関連記事)、徐々に“らしさ”が感じられるようになった。
MVNOも“新しい価値の提供”が求められる
2014年を語る上で「MVNOの台頭」は外せない。ITmedia MobileでもMVNO関連の記事にはかなり力を入れているが、正直ここまでプレーヤーが増えてくると、どのMVNOがどんなプランを出しているのか、我々でもよく分からなくなってしまう。料金、データ量、繰り越し、ターボ機能、速度制限の有無などで違いはあるのだろうが、回線はほとんどがドコモ、端末も大きな違いはなし……となると、この中から1社を選ぶのは至難の業だ。選択肢が増えることは歓迎したいが、むやみやたらに選択肢が増えるのも考え物だと思う。
例えばフリービットのように回線から端末、サポートまでを一貫して行うか、ケイ・オプティコムのようにドコモ以外の回線を使うか、はたまたキッズやシニア向けに独自の料金体系や端末を用意する(ここはキッズ/シニア向けスマホ開発の実績のあるシャープや富士通にがんばってもらいたい)……といったことをしないと、差別化は難しくなるだろう。もちろん、ネットワークとサポートの品質が重要なのは言うまでもないが。
また、2020年の東京オリンピックの開催に向けて、今後は外国人向けのプリペイドSIMを扱うMVNOもさらに増えていくだろう。「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」プロジェクトなど、訪日外国人向けにWi-Fiスポットや観光情報を提供するサービスも盛り上がっているが、Wi-FiスポットとプリペイドSIMをセットにしたサービスも登場している(ワイヤレスゲートが提供予定)。
大手通信キャリアと同じく、MVNOも同質化が進みつつあるが、今後は“新しい価値”をどれだけ提供できるかも重要になってくるはずだ。
関連キーワード
MVNO | KDDI | NTTドコモ | Firefox OS | au WALLET | 孫正義 | Fx0 | プリペイドSIM | アメリカ放題 | フリービット | HTC Butterfly | LG G Flex | isai LGL22 | G Flex LGL23 | isai FL LGL24 | LTE(Long Term Evolution) | Pepper | ファブレット | SIMカード | スマ放題 | Xperia Z Ultra SOL24 | Sprint | ワイヤレスゲート | VoLTE
関連記事
- 写真で解説する「AQUOS CRYSTAL」
極限までディスプレイのフレームをなくし、サウンド面も強化したシャープ製の新型スマートフォン「AQUOS CRYSTAL」。ソフトバンクモバイルとSprintとの共同開発で注目を集めている同モデルの見どころをお伝えしよう。 - 大きくなった「iPhone」の使い勝手は? 旧iPhoneやiPad miniと比べてみた
「iPhone 6」の実力を測るロードテスト第1回は、4.7型に大画面化したディスプレイや端末のサイズ感に着目した。 - 過去機種とスペックで比較――「Xperia Z3/Z3 Compact」はココが進化した
IFA 2014の開催に合わせて発表された、ソニーモバイルのフラッグシップモデル「Xperia Z3」。Z2やZ1からはどこが進化したのだろうか? 同時に発表された「Xperia Z3 Compact」もあわせて、スペックを比較しながらチェックした。 - Z1とここまで違う――「Xperia Z2」の高剛性と軽量化を両立させた“新技術”
Xperia Z2は、ガラスパネルと金属フレームを使ったデザインをZ1から継承しているが、Z2ではさらに一歩踏み込んだ工夫を施している。そこで大きなカギを握る手法とは? Xperia Z2のインタビュー第1回では、デザインと機構設計の裏話をお届けする。 - ソニーモバイル、リストバンド型の「SmartBand SWR10」を5月23日に発売
歩数、消費カロリーからエンタメやコミュニケーションまで幅広い活動を記録できるリストバンド型のデバイス「SmartBand SWR10」を、ソニーモバイルが5月23日に発売する。Android 4.4のスマートフォンで利用できる。 - 話題のAndroid Wearデバイスをレビュー! 使って分かった意外な弱点
続々と登場するAndroid Wear搭載のウェアラブル端末だが、その使い勝手はどうなのか。主要な4デバイスをピックアップし、実際に使ってみて感じたことを紹介したい。 - Android 4.4搭載、SIMロックフリーの“スマートウォッチフォン”「SmartGear49」登場
単体で3G通信ができるSIMロックフリーのスマートウォッチフォン「SmartGear49」の予約が開始された。Android 4.4を搭載しており、GPSやカメラも備えている。2015年1月下旬に出荷予定。 - “いわゆる電子マネー”とはちょっと違う「au WALLET」
auポイントサービスも統合される「au WALLET」は、プリペイド電子マネーでありながら、クレジットカードと同じように使えるユニークなサービス。発表会場の展示内容などを含め、改めてその特徴を整理する。 - 田中社長「Fx0はスーパークールなスマホ」――KDDIがFirefox OSで目指す世界
「ギークの皆さまのために作ったスマホ。まったくビジネスのことを考えていない」とKDDI田中社長が説明するFirefox OSスマホ「Fx0」。KDDIはなぜFirefox OSに着目したのか? そしてFx0ならではのこだわりとは?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.