“SIMロック解除”で需要増に期待 ヨドバシ×ワイヤレスゲートが迎える「SIMフリー元年」:音声SIM+専用カウンター
ヨドバシカメラとワイヤレスゲートは、SIMフリースマホ専用カウンターの設置と音声通話SIMのラインアップ追加を発表した。5月下旬のSIMロック解除義務化を見越したもの。
ワイヤレスゲートは4月14日、ヨドバシカメラで販売している格安SIMのラインアップに、音声サービスを付けた製品「ワイヤレスゲートWi-Fi+LTE 音声通話プラン」を追加すると発表した。またヨドバシカメラは同日、各社の格安SIMとSIMロックフリースマートフォンを取り扱う専用カウンターの設置をアナウンスした。
2004年創業のワイヤレスゲートは、事業者ごとに個別のIDが必要だった公衆無線LANアクセスポイントを、1つのIDで使えるようしたアグリゲーションビジネスを母体とする通信事業者。2009年にUQ モバイルコミュニケーションズから回線提供を受けてWiMAXのサービスを開始し、2014年9月にNTTドコモのLTEと3Gを使った格安SIM事業に参入した。また2007年にヨドバシカメラと業務提携し、現在は資本関係も結んでいる。
今回、音声サービスを開始するにあたりワイヤレスゲートの池田武弘CEOは、「当社はもともと『データをヘビーに使いたい』というユーザーを対象に、大手キャリアではできないプランを提供してきた。しかし店頭ではやはり、音声通話も欲しいという声も多く、4月28日からサービスを提供することになった」と述べた。もちろんヨドバシカメラが5月中旬に設置するSIM専用カウンターでも取り扱い、新規契約と携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の即日開通にも対応する。
音声付きプランの特徴について池田CEOは、4つの特徴があると説明する。1つ目は全国4万カ所のWi-Fiスポットが利用できること、2つ目はニーズに合わせた低速(最大250kbps)と高速(下り最大150Mbps)のスピードを選択できること、3つ目は速度とデータ容量に合わせた4つのプランを用意したこと、そして4つ目は契約期間の設定がなく違約金が発生しない点だ。
「もともと月額390円でWi-Fiスポットを提供していたこともあり、LTEについてはWi-Fiが利用できない場所で使っていただくイメージ。通信速度も250kbpsであれば、Webやメール、SNSなどの一般的なデータ利用が低コストに行える。一方で動画配信などを利用したい場合は150Mbpsのサービスと、2つの速度を目的に合わせて使って欲しい。料金体系も柔軟で、最も安いプランは1300円とWi-Fiのみの390円と比べると実質910円で通話も含めたLTEを実現した。業界内でも最安値と言っても良いくらいだ。また、すでにお持ちの端末を活用したいというニーズに合わせて、最短契約期間や解約手数料がかからないようにし、ユーザーが格安SIM移行に感じる障壁を極大まで下げた」(池田CEO)
なお解約時の違約金が発生しないワイヤレスゲートの通話付きサービスだが、MNPで転出する場合は1万1000円の解約手数料が発生する。通常の解約であれば無料だが、電話番号を他社サービスに引き継ぐ場合に高いハードルを設けることで、MNP転出に一定の歯止めを掛ける狙いがあるようだ。
ワイヤレスゲートの音声通話サービスは、5月下旬にも始まるSIMロック解除の義務化を見越したものでもある。提携するヨドバシカメラは、5月中旬から各社の格安SIMとSIMフリースマホを取り扱う専用カウンターを設ける。これについてヨドバシカメラの常務取締役販売部長 日野文彦氏は、「SIMフリー端末へのニーズが高まっているが、店頭には大きく3つの課題がある」と指摘した。
その課題とは、複数のキャリアを比較したプランの提案ができないこと。そして複数キャリアの開通手続きを行えないこと、最後にアフターサービスが不十分――というもの。日野氏は専用カウンターを設置することで、3つの課題を同時に解決したいと意気込む。
専用カウンターではユーザーニーズを受けて複数キャリアをまたがったプランを提供するほか、開通サービスや端末の設定なども行う。音声通話に対応した格安SIMは本人確認が必要なこともあり、通販で入手した場合は証明書の送付などで、開通まで1~数週間程度の時間がかかる。またMNP手続きにもタイムラグが発生するため、現在使っている電話番号が一時的に使えなくなる。こした不便さを、複数キャリアが相乗りするカウンターを設けることで解消するという。
また無料通話アプリや通話料金を下げるアプリの紹介など、格安スマホならではの使い方を提案するほか、故障時の修理受付や、メモリの復旧サービスといった、SIMフリースマホで不安を覚えやすいアフターサービス業務も行う方針だ。
このカウンターで取り扱うキャリアは、ワイヤレスゲートのほか、freetel、ワイモバイル、nifty、UQモバイル、OCN、U-NEXT、BIGLOBEの8社。このほかにも交渉中の事業者があり、契約がまとまり次第取り扱いを始めるとした。
カウンターは5月中旬にマルチメディアAkiba(東京)に設置された後、大阪・梅田店、京都店、福岡・博多店、北海道・札幌店などに拡大する計画。今後は年内をめどに、10店舗程度まで広げる計画だ。
「今年はおそらく、SIMフリー元年になると言っても過言ではない年になる。さまざまなサービスが世の中に出てくるのは間違いなく、それらを迅速にユーザーにお届けしたい。まずはこのマルチメディアAkibaから、スピード感を持って全国に展開してきたい」(日野氏)
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