対応周波数が増え、通信速度が速くなったiPhone 6s/6s Plus 日本だとあまりメリットにならず?:3社の違いも大きく
対応周波数の違いで最大通信速度が異なるなど、インフラごとにキャリアの違いが大きくなる可能性。
ほかのスマーフォンよりも多い、最大23のLTE周波数に対応します――Appleは「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の通信機能についてこう説明している。
ただ現在明らかになっている仕様では、日本国内で使う場合の対応周波数は現行の「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」と同じだ。新機種で新たに対応する4Gの周波数帯域は、FDD-LTEのBand 12(700MHz帯)とBand 27(800MHz帯 ESMR)、Band 30(2.3GHz帯 WCS)。いずれも米国向けの周波数帯域で、残念ながら日本国内では関係がない。今回もNTTドコモとKDDI(au)が使用している1.5GHz帯(Band 21、Band 11)のサポートは見送られた。
「iPhone 6/6 Plus」はWiMAX 2+とAXGPに対応 利用できる周波数一覧
iPhone 6s/iPhone 6s Plusは対応する通信方式により2モデルがあり、日本市場ではどちらが、あるいはどちらも販売されるのかはまだ分からない。ちなみにその違いは、FDD-LTEのBand 30(2.3GHz帯、WCSと呼ばれる)と、3GのCDMA EV-DO Rev. A(800MHz、1700MHz/1900MHz、2100MHz)をサポートするか、しないかだけだ。
iPhone 6sの「モデルA1633」とiPhone 6s Plusの「モデルA1634」は、Band 30対応でCDMAに非対応。一方のiPhone 6s「モデルA1688」とiPhone 6s Plus「モデルA1687」は、Band 30に非対応でCDMAに対応している。
日本のauは3G網にCDMAを使っているため、従来であればCDMA対応版が投入されるのは確定だ。しかしauはVoLTE対応を機に、3G(CDMA)非対応のAndroidスマートフォンを展開している。iPhoneでもLTEに注力するため、CDMA非対応でも構わないという判断もあり得る。auユーザーとしてみれば、CDMA対応版が国内販売されるかはちょっと気になるところだ。
さて新型iPhoneは、ひと世代前と比べて最大2倍速いLTE-Advanced――も進化点の1つ。すでにドコモがiPhone 6s/iPhone 6s Plusの発売に併せて下り最大262.5Mbpsの通信サービス「PREMIUM 4G」を開始すると発表している。これは2GHz帯(最大通信速度112.5Mbps)と1.7GHz帯(同150Mbps)のキャリアアグリゲーション(CA)で実現したものだ。しかし東名阪バンドの1.7GHz帯を使うことから、対応エリアは大都市圏が中心になってしまう。
それ以外は2GHz帯(同112.5Mbps)と800MHz帯(同75Mbps)のCAとなり、通信速度は下り最大187.5Mbpsにとどまる。もしドコモの1.5GHz帯(同112.5Mbps)が使えれば、東名阪以外で通信速度の底上げができたかもしれない。
auとソフトバンクのネットワークで使う場合も、LTE-Advancedで高速化が期待される。auは2GHz帯(同150Mbps)と800MHz帯(同75Mbps)のCAで下り最大225Mbpsのサービスを提供している。新型iPhoneがこれに対応するのは間違いないだろう。また引き続きWiMAX 2+も使えることから、WiMAX 2+のCA対応で通信速度が220Mbpsに高速化することも考えられる。
ソフトバンクはこの夏から、Androidスマホ向けにFDD-LTEで下り最大187.5MbpsのCAを開始した。またAXGP(SoftBank 4G)では下り最大165Mbpsのサービスを提供している。iPhone 6s/iPhone 6s Plusがこれらをサポートしている可能性も十分高い。ドコモの262.5Mbpsや、auの225Mbpsと比べると見劣りするが、LTE-Advancedの本格展開などインフラ面で巻き返しチャンスともいえる。
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