“時計らしさ”を追求した「Gear S2」――サムスンが提案する新しいスマートウォッチの形:開発陣に聞く「Gear S2」(2/2 ページ)
円形のディスプレイを採用し、より“時計らしさ”を身にまとった「Gear S2」が日本でも発売される。本機のコンセプトやデザインについての考えをサムスンの開発陣に聞いた。
Tizenが差別化につながる
―― Tizenを使っているのは、このUIを実現するためでしょうか。
カン氏 弊社は戦略的に、Tizenを使っています。ですから、大前提として、Tizenの上でこのUIを開発しました。
―― 逆ということですね。Tizenは差別化に効いているとお考えですか。
カン氏 TizenにはGoogleなどとの差別化という意味合いもありますが、それ以上に家電との連携が取りやすくなるという効果もあります。弊社のほかの家電も、Tizenを使用していますからね。
デザインは「シンプル・イズ・ベスト」
―― ホンさんは、もともと時計のデザインをやっていたわけではないと思います。一般的な製品との違いは、何かありましたか。
ホン氏 時計というのは、個人的な嗜好(しこう)が偏って出るものです。デザインが重要だという方もいれば、ブランドが重要だという方もいる。どこに重点を置いてデザインをするのかが、悩みどころでした。初期のリサーチでは、整理ができないほどでした。
そこで、私たちが独自に時計というものを整理して、タイムレスというコンセプトでデザインをしています。タイムレスとは、シンプルで、誰もが好むようなものという意味合いを持っています。時がたっても飽きない、ユーザーが親しみやすいものというところを元に、デザインをしました。
―― シンプルで飽きのこないデザインは、ともすると退屈になってしまいます。その点は、どうお考えでしょうか。
ホン氏 今でもそうですが、「シンプル・イズ・ベスト」だと考えています。これが時計だとしても、ウォッチフェイスを変えることで、ガラッと印象も変わります。つまらない部分は、ウォッチフェイスで克服できると考えています。
―― 今まで時計を付けてこなかった人に、どういう価値を提供できるとお考えでしょうか。
ホン氏 回答が重なってしまうかもしれませんが、毎日いろいろな体験ができるというところです。
カン氏 もう1つは、パワフルなヘルス機能がついているので、毎日使う上で重要な存在になるのではないでしょうか。
―― これまで7モデルを出してきましたが、今後はどのような形状やUIが考えられるのでしょうか。
カン氏 スマートウォッチは、機械というより、ファッションだと認識しています。形にとらわれず、ユーザーのニーズを考えていきます。現在出ている円形のものが、最後とは言い切れません。今後も、どういうニーズを持っているのかは、リサーチしていきます。
―― タグ・ホイヤーやファーウェイのようなスマートウォッチを見ると、より時計に近い方向に向かっているような印象も受けます。
ホン氏 スマートウォッチは、まだスマートフォンの代わりになるような端末ではありません。今後、どうなっていくのかは、まだ分からないですね。それが腕時計型になるのか、メガネ型になるのか。少なくとも、ユーザーがもっと自然に身に着ける端末になっていくのだと思います。
取材を終えて:“時計らしさ”を重視するならもう一工夫欲しい
どちらかというと機能性が重視されていたこれまでのGearシリーズとは異なり、Gear S2、Gear S2 classicでは、ファッション性を強く意識していることがうかがえた。GALAXY(Galaxy)シリーズ以外の端末への対応は、ある意味、必然だったといえるだろう。デザイン性とともに、ベゼルを回転させるUIを作り込んでいる点も面白い。ここはOSを自社で手掛けている強みが発揮されている部分だ。
一方で、サムスン電子といえば、やはり家電メーカーというイメージがどうしてもぬぐえない。時計メーカーでもなければ、ファッションブランドでもないため、“時計らしさ”を重視するのであれば、何かもう一工夫が必要だと感じた。ファッション性を重視するうえでは、グローバルで行っているようなコラボレーションを、日本でも積極的に展開する必要があるのかもしれない。
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