―― Tizenを使っているのは、このUIを実現するためでしょうか。
カン氏 弊社は戦略的に、Tizenを使っています。ですから、大前提として、Tizenの上でこのUIを開発しました。
―― 逆ということですね。Tizenは差別化に効いているとお考えですか。
カン氏 TizenにはGoogleなどとの差別化という意味合いもありますが、それ以上に家電との連携が取りやすくなるという効果もあります。弊社のほかの家電も、Tizenを使用していますからね。
―― ホンさんは、もともと時計のデザインをやっていたわけではないと思います。一般的な製品との違いは、何かありましたか。
ホン氏 時計というのは、個人的な嗜好(しこう)が偏って出るものです。デザインが重要だという方もいれば、ブランドが重要だという方もいる。どこに重点を置いてデザインをするのかが、悩みどころでした。初期のリサーチでは、整理ができないほどでした。
そこで、私たちが独自に時計というものを整理して、タイムレスというコンセプトでデザインをしています。タイムレスとは、シンプルで、誰もが好むようなものという意味合いを持っています。時がたっても飽きない、ユーザーが親しみやすいものというところを元に、デザインをしました。
―― シンプルで飽きのこないデザインは、ともすると退屈になってしまいます。その点は、どうお考えでしょうか。
ホン氏 今でもそうですが、「シンプル・イズ・ベスト」だと考えています。これが時計だとしても、ウォッチフェイスを変えることで、ガラッと印象も変わります。つまらない部分は、ウォッチフェイスで克服できると考えています。
―― 今まで時計を付けてこなかった人に、どういう価値を提供できるとお考えでしょうか。
ホン氏 回答が重なってしまうかもしれませんが、毎日いろいろな体験ができるというところです。
カン氏 もう1つは、パワフルなヘルス機能がついているので、毎日使う上で重要な存在になるのではないでしょうか。
―― これまで7モデルを出してきましたが、今後はどのような形状やUIが考えられるのでしょうか。
カン氏 スマートウォッチは、機械というより、ファッションだと認識しています。形にとらわれず、ユーザーのニーズを考えていきます。現在出ている円形のものが、最後とは言い切れません。今後も、どういうニーズを持っているのかは、リサーチしていきます。
―― タグ・ホイヤーやファーウェイのようなスマートウォッチを見ると、より時計に近い方向に向かっているような印象も受けます。
ホン氏 スマートウォッチは、まだスマートフォンの代わりになるような端末ではありません。今後、どうなっていくのかは、まだ分からないですね。それが腕時計型になるのか、メガネ型になるのか。少なくとも、ユーザーがもっと自然に身に着ける端末になっていくのだと思います。
どちらかというと機能性が重視されていたこれまでのGearシリーズとは異なり、Gear S2、Gear S2 classicでは、ファッション性を強く意識していることがうかがえた。GALAXY(Galaxy)シリーズ以外の端末への対応は、ある意味、必然だったといえるだろう。デザイン性とともに、ベゼルを回転させるUIを作り込んでいる点も面白い。ここはOSを自社で手掛けている強みが発揮されている部分だ。
一方で、サムスン電子といえば、やはり家電メーカーというイメージがどうしてもぬぐえない。時計メーカーでもなければ、ファッションブランドでもないため、“時計らしさ”を重視するのであれば、何かもう一工夫が必要だと感じた。ファッション性を重視するうえでは、グローバルで行っているようなコラボレーションを、日本でも積極的に展開する必要があるのかもしれない。
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