“時計らしさ”を追求した「Gear S2」――サムスンが提案する新しいスマートウォッチの形開発陣に聞く「Gear S2」(1/2 ページ)

» 2015年12月09日 14時20分 公開
[石野純也ITmedia]

 スマートウォッチ市場にいち早く参入し、経験値を積んできたサムスン電子。初代となる「GALAXY Gear」は、2013年に「GALAXY Note 3」とともに発表し、大画面のスマートフォンとスマートウォッチを組み合わせて利用するというスタイルを提案してきた。Apple Watchが発売され、にわかに注目を集めるスマートウォッチだが、2年以上前から、既にサムスン電子は、こうしたデバイスを世に問うてきたというわけだ。

 その後、GALAXY GearはOSをTizenに変え、後継機の「Gear 2」「Gear 2 Neo」や、曲面ディスプレイを搭載した「Gear Fit」を発売。独自プラットフォームを採用する一方で、GoogleのプラットフォームであるAndroid Wearにも取り組んでおり、「Gear Live」も発売している。2014年には、音声通話にも対応し、スタンドアロンで通信可能な「Gear S」も発売している。

 そのサムスン電子が、新たに送り出すウェアラブル端末が、円形のディスプレイを採用し、より“時計らしさ”を身にまとった「Gear S2」だ。Gear S2には2つのバリエーションがあり、ノーマルバージョンと、より時計らしさを追求した「Gear S2 classic」の2種類をラインアップする。日本では12月18日から、ドコモショップとauショップ、家電量販店などで発売される。

 日本では発売されないが、e-SIMを採用した3G版も用意。Gearシリーズで培ってきた技術に加え、デザイン性を高める工夫をしている。UI(ユーザーインタフェース)にも工夫を凝らし、ベゼル部分をクルクルと回す操作方法を取り入れた。

photophoto 本体は通常版(写真=左)のほかに、classic版(写真=右)も用意。一般的な時計用の20ミリ幅のバンドを付けられる
photo 非接触充電に対応。充電のために端子を挿す煩わしさはなくなった

 これまでのGearシリーズは、Android WearだったGear Liveを除き、どれもGALAXY(Galaxy)シリーズにのみ対応するスマートウォッチという位置付けだったが、Gear S2ではその門戸も開放。Android 4.4以上の幅広い端末に対応する予定で、使い勝手がさらに高まった。このGear S2を、サムスン電子はどのようなコンセプトで開発したのか。韓国・ソウル市にある同社本社に招かれたプレスツアーで、製品デザインを担当したホン・ジェヒョン氏と、グラフィックUIを担当したカン・チョルフン氏が、開発秘話を語った。

photo 製品デザインを担当したホン・ジェヒョン氏(左)と、カン・チョルフン氏(右)

円形ディスプレイを採用した理由

―― これまでのGearシリーズは、ずっと四角のディスプレイを採用してきました。ここで円形にした理由を教えてください。

ホン氏 Gearシリーズは全部で7機種出していますが、その中には、四角いディスプレイを採用したものもあれば、フレキシブルディスプレイを採用したものもありました。今回、円形を採用したことで、セグメントを拡張したと思っていただけるといいですね。時計というのはもともと円形ですから、そういう意味では、ユーザーにとって、より親しみやすいデザインではないかと考えています。

―― 円形の方が、やはり親しみやすいということでしょうか。

カン氏 円形でも四角でも、お互いに長所があります。どちらかといえば、個人的な傾向もあるのではないでしょうか。ただ、時計は90%以上が円形です。Gear S2に関しては、そういった部分も考慮しています。デザインのコンセプトでも、アナログな部分を訴求していこうというものがありました。もちろん、円形だと、四角のディスプレイより消える部分(表示できない部分)が多くなってしまいます。そのため、回転するベゼルのユーザーエクスペリエンスで、そういったことを補完しようと考えました。

―― ベゼルを回すというUIは、当初から組み込まれていたものだったのでしょうか。

カン氏 コンセプト自体は、弊社では3年前から考えていました。しかし、技術的な理由で実現できず、現在に至っています。円形のベゼルのUIは、四角のディスプレイではできないUIです。ウェアラブルは、小さなディスプレイをタッチしなければならない。外側のベゼルは、それを克服する1つの軸になっています。

photophoto カン氏は、画面を指で覆わないというUIのコンセプトを語る(写真=左)。ベゼルをクルクルと回して操作する独自のUIを搭載(写真=右)

―― ウェアラブル市場の今の環境をどう捉えていますか。

カン氏 まだ初期の市場ですが、無限大の可能性のある市場でもあると思います。会社としても力を入れ、先行デザインを進めています。端末のサイズ自体が小さいので、最先端の技術を搭載する必要がありますからね。現在のモバイルを超える、最先端の市場になっていくと考えています。

―― まだキャズムを超えていない中で、何が必要だと思いますか。

カン氏 私個人としては、そういう日が1日でも早く来てほしいと願っています。そういった日が来るように、キラーコンテンツの開発などで努力をしていきます

ウォッチフェイスでファッション性を拡張できる

―― バンドについて、詳しい仕様を教えてください。

ホン氏 今回、製品としてはGear S2とGear S2 classicの2種類があり、お互いが違うバンドになっています。まず、Gear S2については、弊社独自の接続方式を採用しています。もちろん、サードパーティーが拡張することも考慮したものです。もう1つのclassicに関しては、市場にある20ミリの幅のバンドに対応しています。こちらは、よりファッションに沿ったものに変えられると思います。

―― ファッションという観点だと、従来の時計ではできなかったこともあると思います。今回、実現したことを教えてください。

カン氏 ストラップ交換ができる拡張性はその1つです。また、そこにウォッチフェイスを組み合わせると、最大で6000種類以上の時計がこの中でできます。ファッションとして考えたときの、拡張性は大きいのではないでしょうか。

―― 他社を見ると、サイズを2種類出しているようなものもあります。1種類なのは、どういった意図があるのでしょうか。

ホン氏 そういう部分にとらわれず、みんなが使えるものということを考えました。グローバルの観点から見ても、手首が太い方もいれば、細い方もいます。そういったバランスを考慮しました。

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