サムスンが「GALAXY」冬モデルを発表――スマホはフラッグシップ不在も“IoT”に注力

» 2015年12月08日 18時40分 公開
[田中聡ITmedia]

 サムスン電子が12月8日、2015年冬に日本で発売するGALAXYブランドの新製品を発表した。ラインアップは、スマートフォンが「Galaxy A8」と「Galaxy Active neo」、ウェアラブルが「Gear S2」と「Gear S2 Classic」、ヘッドマウント型ディスプレイが「Gear VR」、マルチメディアデバイスが「Galaxy View」。

photo 左から、サムスン電子ジャパン プロダクトグループの糸櫻幹雄氏と、サムスン電子ジャパン 代表取締役 最高執行責任者の堤浩幸氏

スマートフォンは2機種発売も、フラッグシップは不在

 Galaxy A8は、KDDIから12月中旬以降に発売される予定のスマートフォンで、海外では2015年夏に発売済み。auのスマートフォンで最も薄いという「厚さ約6.0ミリ」のスリムなボディに約5.7型フルHD(1080×1920ピクセル)のディスプレイ(有機EL)を搭載。幅は77ミリで、背面にカーブを付けることによって持ちやすさにも配慮した。ホームボタンを3回連続して押すと、画面の表示が縮小して片手で操作しやすくなる。必要十分なスペックを持つが、Galaxyスマホの中ではミッドレンジに位置付けられる。

photo 「Galaxy A8」
photophoto こちらはホワイト。幅は77ミリで、片手でも何とか持てる
photophoto 厚さ6ミリを実現(写真=左)。ホームボタンを3回押すと、片手操作モードになる(写真=右)
photophoto こちらはゴールド

 Galaxy Active neoは、NTTドコモから販売されているタフネススマートフォン。米国国防省の軍用規格(MIL規格)に加え、メーカー独自の試験をクリアした、耐久性に優れたスマートフォン。

 ただしグローバルで発売されている2015年後半のフラッグシップスマートフォン「GALAXY Note 5」と「Galaxy S6 edge+」は日本では発売されない。サムスン電子ジャパン 代表取締役 最高執行責任者の堤浩幸氏は「Noteのニーズは多数あるが、(サムスンは)IoT(モノのインターネット:あらゆるものがインターネットにつながること)に向けてのソリューションに踏み出した。日本の状況とIoTに基づいたソリューションで対応していく」と話す。このタイミングでA8を投入するのも「日本では大画面のニーズがあるが、端末のデザイン感やサイズ感も求められている」(プロダクトグループの糸櫻幹雄氏)ためだという。

 これまで、サムスン電子は日本ではハイエンドモデルを中心にスマートフォンを投入してきたが、日本市場で求められている端末が変わりつつあると感じているようだ。

今度の「Gear」はGALAXY以外のAndroidともつながる

 Gear S2とGear S2 classicは、2015年9月の「IFA」でも発表した、円形ディスプレイ搭載のウェアラブル端末。S2 classicでは革のバンドを利用できる。価格はGear S2が4万2984円、S2 classicが4万9464円(いずれも税込、ドコモオンライショップの場合)。12月18日から、ドコモショップとauショップ、家電量販店などで販売される。またAmazon.co.jpでも取り扱う。

photophoto 「Gear S2」のダークグレー、シルバー(写真=左)と「Gear S2 classic」(写真=右)

 ディスプレイ周辺のベゼルを回すことで、アプリや画面の切り替え操作ができる。この「サークルUX」は「ウェアラブル端末は画面が小さく、指で操作をすると、隠れてしまう。指で触ると汚れてしまうという声もあり、画面のタッチ数を極力減らし、円形デザインをより味わってもらうため」(糸櫻氏)に開発した。

photophoto ベゼルを回すと表示の切り替えが可能

 OSはTizenで、専用アプリ「Gear Manager」を使うことで、GALAXY以外のAndroid 4.4以降のスマートフォンと連携できる。NFCにも対応しており、詳細は機能は未定だが、「(これまでとは)違うつながり方が出てくるので、こうご期待」(糸櫻氏)とのこと。なお、日本で発売するモデルに関しては、モバイル通信(3G)には対応していない。

photo Gear S2/S2 classicの特徴

“VR酔い”を抑えた「Gear VR」と法人用途を見込んだ「Galaxy View」

 Gear VRは、サムスンが開発したヘッドマウントディスプレイとしては、初の一般ユーザー向け製品。「Galaxy S6」か「Galaxy S6 edge」を装着して、360度に広がる世界を大画面で楽しめる。視野角は90度、重量は約318グラム。価格は1万円台後半の予定。

photophoto 「Gear VR」

 3世代目ということもあり、従来モデルから改良を加えた。「従来機では首の動きに映像が付いてこられず、“VR酔い”を引き起こすことがあった」(糸櫻氏)が、VR本体に9軸センサーを搭載し、ユーザーの首の動きに合わせて映像が動くようにした。装着感にもこだわり、重量配分を改良することで、長時間装着しても疲れないよう配慮した。また、眼鏡をかけたままでも装着できる。

photo Gear VRの特徴

 Galaxy Viewは、約18.4型のフルHD(1080×1920ピクセル)ディスプレイを搭載した大型端末。18型のデバイスとしては軽い約2.7キログラムで、持ち運ぶのに使うハンドルや、横向きに置けるスタンドを備えている。会議でのプレゼンテーションやビデオ電話、店頭のデジタルサイネージなど、法人での利用を主に想定しており、複数のパートナー企業との協業を進めている。個人ではテレビ代わりに動画を視聴する端末としての利用を想定している。価格は未定。

photophoto 「Galaxy View」
photophoto 「モバイル」と「大画面」を兼ね備えたものがGalaxy Viewだという(写真=左)。ハンドルを持てば片手で担げる(写真=右)

サムスンはIoTビジネスの拡大を目指す

 サムスン電子はIoTに着目し、さまざまなものがインターネットにつながる世界を目指す。そのためには「スマートフォンが全てのモノにつながることが大原則」「生活パターン、基本的な考え方、機能、サービス、ソフトウェアなどを含めたゲームチェンジをしないといけない」と堤氏は言う。そしてGALAXYブランドでは「先進的である」「挑戦している」「遊び心のある」ことを重視。今回発表した製品は、これら3つの要素を盛り込み、将来的なIoTの普及に努めていく。


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