2025年6月の発売以来、世界中で爆発的なヒットを記録している「Nintendo Switch 2(以下、Switch 2)」。単体でもゲームを快適にプレイできるほどのディスプレイを持つが、一部のユーザー、とりわけARグラス「XREAL」を愛用する層にとっては、半年もの間、ある「大きな不満」がくすぶり続けていた。それは、「なぜ、最新のSwitch 2がXREALグラスで使えないのか」という問題だ。
映像出力が可能なDisplayPort Alt Mode(DP Alt Mode)に対応したiPhoneやAndroidスマートフォンなどであれば、XREALグラスのケーブルを挿すだけで即座に画面が表示され、大画面でのコンテンツ視聴が可能になる。Switch 2でも同様に使えるのか……? XREALユーザーならそう疑問に思う人もいるだろうが、現実は違った。ケーブルを挿しても、何も映らないのだ。
そんな沈黙から半年。ついにXREALから「解決策」が提示された。
それは、同社公式サイトに突如現れた新製品「XREAL Neo」だ。その製品ページには、ハッキリと「Switch 2」の文字と接続イメージが掲載されている。
そもそもなぜこれまでは使えず、なぜ今になって「Neo」が必要なのか。これまでXREALとSwitch 2のユーザーが直面していた「使えない」という現象の正体について広報回答をもとに説明していく。
まずXREAL広報に対し「Switch 2とXREALグラス単体の組み合わせでは、USB Type-Cケーブル1本での接続(使用)ができないのか?」と単刀直入に質問をぶつけた。
「その認識で問題ない」──XREAL広報からの回答は、ユーザーの懸念を裏付けるものだった。接続構成として、XREAL広報は次のように示した。
つまり、Switch 2の映像をテレビや今回のテーマであるXREALグラスに出力するためには、電源の確保も必要になるということだ。逆にいえば、電源供給元であるXREAL NeoがなければSwitch 2とXREALのグラスを持っていても、Switch 2の映像をXREALのグラスに出力することはできない。
XREAL Neoの公式サイトやニュースリリースを確認すると、XREAL Neoは一見、スマートフォンのような形状をしたモバイルバッテリーに見える。しかし、XREAL広報の定義によれば、このデバイスの正体は「バッテリーおよび計算ユニット(XREAL Hub)を統合したもの」だという。
「Beam Pro」のようなAndroidアプリを動かす高度な処理能力こそ持たないが、Neoには「Switch 2をXREALのグラスで使う」ために不可欠な要素が備わっている。
XREAL広報の説明によれば、接続の仕組みはこうだ。XREAL NeoがSwitch 2とXREALグラスの双方へ同時に給電を行いながら、Switch 2から送信された映像信号を受け取り、それをグラス側へ受け渡す。この一連の流れは「業界標準のDP Alt Modeに基づくもの」だといい、そこにXREAL独自の技術は加えられていないようだ。
台湾BenQによると、DP Alt Modeは、特定のUSB-CポートがDisplayPort規格を利用し、1本のケーブルで外部モニターへ映像信号を送ることを可能にする出典:台湾BenQ「USB-Cの紹介:USB-C DisplayPort(DP Alt Mode)とは?」XREAL広報は、任天堂の技術協力を得たかどうかについては言及しておらず、「XREAL Neoは基本的に弊社で独自開発したもの」とするにとどめている。
今回の取材で判明したもう1つの重要な事実は、互換性の広さだ。
新ハードへの対応といえば、最新モデルのグラスへの買い替えが必要になるのではないかという懸念がある。しかし、「過去に販売されたグラスでもSwitch 2の映像は見られるのか」と確認をしたところ、XREAL広報は「過去販売している製品、今後リリースされる全てのメガネに対応する」と断言した。
これは既存ユーザーにとって最大の朗報だ。手元にある初代「XREAL Air」や「Air 2」、ハイエンドの「Ultra」であっても、XREAL Neoを1台導入するだけで、即座にSwitch 2対応デバイスへと生まれ変わる。これまで「Switch 2で使えないから」とXREALを押入れや引き出しにしまっていたユーザーも、再びそのグラスを手に取る理由ができたことになる。
今回のXREAL Neoの発表と、XREAL広報による仕様の明言は、半年間の「なぜ使えないのか」というモヤモヤを吹き飛ばす決定打となった。結論として、Switch 2を外出先や自室において大画面で遊びたいと願うならば、XREAL Neoは「あったら便利」なアクセサリーではなく、「なくてはならない」必須デバイスになる。
7.9型ディスプレイを搭載するSwitch 2単体でのモバイルプレイも快適だが、バッテリー持続時間や画面サイズには物理的な限界がある。XREAL Neoもバッテリーのため、持続時間に限界がある点は同じだが、Switch 2本体への給電を行いながら、目の前に巨大スクリーンを展開するという理想を現実のものにする。
ホリデーシーズンの12月を前に、XREAL NeoはXREALとSwitch 2のユーザーにとって注目すべきアイテムとなることは間違いない。
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